仁義なき “銀行交渉” ⑤
古山喜章です。
“銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!”
“ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!”
などなど・・・。
誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、
たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。
銀行にとっては、
生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。
企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
⑤“振り込んでしまえばいいんですよ”
(④のつづき)
ある企業の話しです。
子会社に土地を売却し、オフバランスをするわけですが、
その土地の根抵当がネックになっていたのです。
で、根抵当を抑えているメイン銀行に、
有償解除を申し入れました。
が、すんなり受け入れてはくれません。
のらりくらりの対応です。
それどころか、
“もう少しシェアを広げさせていただたければ・・・”
と、ずうずうしい要求さえもしてくるのです。
その企業は、メイン銀行に嫌気がさしていました。
“こんなことなら、メイン銀行なんて、変えてもいい!”
そこへ、
別の第2地銀が、協力してくれることになったのです。
“ぜひ、協力させてください!”と・・・。
つまり、こうです。
メイン銀行の根抵当をはずしたい企業が、
1)第2地銀から融資を受ける
2)その資金を、メイン銀行に返す
3)返せば、根抵当は外れる
という流れです。
これによって、
メイン銀行は、シェアを減らすどころか、
メインの立場も失脚するのです。
そこで気になったのが、
2)その資金を、メイン銀行に返す
という部分です。
で、第2地銀の支店長に聞きました。
“返す、といっても、相手がすんなりOKしますか?
おたくだって、返されるとなったら、反対するでしょう?”
すると、
乗り気の第2地銀の支店長は、こう言ったのです。
“いやいや、そんなこと、簡単なんですよ。”
“どうするんですか?”
“何も言わずに、口座に振り込んでしまえばいいんですよ。”
“えっ、そうなんですか?”
“そうですよ。「返していいですか?」と聞くから、
「それはかんべんしてください」と、なるんですよ。
振り込まれてしまったら、我々はもう、どうすることもできませんから”
なるほど・・・。
そして、メイン銀行に振り込むXデーを決めたのです。
Xデーの数日前に、
“ちょっとご相談したいことがあるので、伺わせていただきます”
と、メイン銀行にアポイントを取りました。
“どうぞどうぞ、お待ちしております。”
その頃には、メイン銀行は、
根抵当解除の要求は、すっかりおさまったもの、
と思っていたのです。
そして、Xデーが来ました・・・。
(さらに、つづく・・・)
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