「熔ける」破綻本の超キワモノ!
円谷プロや林原など、
破綻に関する本が多かったのも、
今年の出版の特徴です。
そのなかでも、超キワモノといってよいのが、
「熔ける」(著:井川意高 出版:双葉社)です。
サブタイトルが、
~カジノで失った106億8000万円~
といえば、ピンと来ると思います。
そうです、
大王製紙元会長の、彼が記した本です。
まあ、なにも参考にすることはないのですが、
こういう本には、
私の野次馬根性をくすぐられますねぇ。
はじめと終わりの部分に、
いかにしてギャンブルにはまっていったか、
会社のカネに手をつけていったのか、
周囲をあざむいていったのか、
ということが書かれております。
そこが、興味をそそられるところです。
その間の生い立ちや、事業に関すること、
交遊録などは、早い話し、どうでもよいのです。
そして結論は、
“私は単純に、ギャンブルが好きだったのだ”
と書かれています。
ここが恐いところです。
会社経営に携わってはいけない資質を、
持っていたのです。
それをまわりは見抜けなかった。
加えて、誰も言えなかった。
これは大いにあり得ることです。
回りから見て、そのヒトがギャンブル好きかどうか、
判断するのは、行動や発言しかありません。
単なる見た目だけではわかりません。
よく観察していないと、わからないのです。
ギャンブルだけでなく、酒や女もそうでしょうね。
良からぬ資質を感じた人物に、
経営のポジションを担わせてはいけないのです。
“この俺がきびしく育てたから、そんなことはしないはず”
“親族が会社のカネに手をつけるなんてしないはず”
人間はそんな単純なものではありません。
魔が差して、溺れる、ということも、あり得るのです。
セルフコントロール不可能に陥る人は、いるのです。
だから、特にカネに関しては、厳しいチェックが必要なのです。
あとになってわかったなら、即刻、
経営から退かさなければいけないのです。
わかっていたけど言えなかったという、
側近の言葉も印象的でした。
“井川家がこわかった・・・。”
雇われている者は、保身的になりがちです。
その弱さもわかります。
人間の弱さ、もろさ、傲慢、うぬぼれ、などが行き交い、
井川家は大王製紙を離れることになりました。
その怖さを知る一冊でした。
(古山喜章)
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2月に行われる井上先生の事業承継セミナーですが、M&Aのお話もお聞きしたいです。何せ中小企業の60%が後継者未定ですので。よろしくお願いします。
投稿: Y.S | 2013年11月25日 (月) 14時19分
ご要望におこたえできるようにしておきます。
ご意見ありがとうございます。
投稿: 古山喜章 | 2013年11月25日 (月) 15時36分