「親」という黄金株 ①
株式には、1株でも拒否権があるという、
いわゆる「黄金株」というものがあります。
社長を退任したあと、期限付きで保有したりするものです。
後継者が誤った経営判断に陥らないよう、導くためのものです。
しかし、経営の現場を見ていると、
「親」という立場がまさに「黄金株」であるかのような、
無茶な発言・振る舞いを、目の当たりにすることがあるのです。
①〝おまえは親のカネをむしりとるのか!〟
ある企業で、社長に高額退職金を支給しました。
株価は下がり、退任社長の懐はぬくもり、
退任社長としては、ホクホクです。
で、暖まった懐から、その一部を少人数私募債として、
会社に預けてもらおうと、後継者が退任社長にお願いしました。
後継者は、退任社長の長男です。
〝少人数私募債というのは・・・〟
〝期限をつけて償還するから・・・〟
〝銀行は自己資本と見なしてくれるし・・・〟
〝金利は3%~5%で、分離課税だし・・・〟
とまあ、ひととおり、退任社長に説明しました。
すると、退任社長、つまり、父親は、
〝なんだかんだ言って、おまえは親のカネをむしりとるのか!〟
と、激昂したのだそうです。
言われた側は、ショックです。
会社のことを考えての発言なのに、
わかってもらえなかった、わけですから。
しかし後日、退任社長は書籍やセミナー内容に触れ、
少人数私募債に資金を差し出しました。
後継者にすれば、
〝あれはいったい何だったんだ!?〟
という気持ちですね。
「親」という黄金株には、
さまざまなフィルターがかけられます。
「我が子」の言葉を、どうも素直に受け入れられない、
のでしょうね。
いつまでたっても、我が子に対して、
「頼りない」「甘えている」「身勝手」「騙されているのでは・・」
という思いがあるのかもしれません。
親であれ、子であれ、
傍若無人な発言・振る舞いがないよう、
互いに気を配って経営にあたってほしいのです。
それも、バトンをうまく繋げる、コツなのです。
(古山喜章)
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