銀行は「手数料産業」である ③
銀行手数料のホームページには、
給与、振り込み、代金取り立て、証明書発行、などなど・・・、
そのメニューの多さに驚きます。
③銀行の私募債は手数料のかたまり
B/S(貸借対照表)を見ると、固定負債に、
「私募債」と記載されていることがあります。
“この私募債は、銀行引き受けの私募債ですか?”
とお聞きすると、9割がた、
“そうです。”と返答されます。
“少人数私募債です”と返答されるのは、まれです。
銀行引き受け私募債は、金融機関が引き受けます。
少人数私募債は、身内や縁故者が引き受けます。
同じ私募債でも、まったくの、別物です。
で、この銀行引き受けの私募債ですが、
手数料のかたまりなのです。
ひとつの事例を紹介します。
2億円で5年償還の私募債を、銀行が引き受けた場合の一例です。
最初に、4つの費用がかかります。
財務代理手数料・・・310万円
名目:社債発行や金利支払いに伴う事務手数料
登録手数料・・・・・20万円
名目:券面番号を登録する業務委託の手数料
引受手数料・・・・・40万円
名目:記載されておらず不明
保証料・・・・・・・850万円
名目:償還できない場合の弁済保証料
いかがでしょうか?合計で、1220万円です。
2億円を銀行私募債で調達しても、
最初の手数料で1220万円とられるのです。
名目を見ると、
〝なんでそんなにかかるの?〟というものばかりです。
なんだか、「○○○金融道」の借入れ場面に登場する、
手数料と同じような感じなのです。
当然、毎年の金利は別途発生します。
銀行引き受けの私募債発行には、一定の基準があります。
それを逆手にして、
“御社なら、私募債の発行もできますよ。”
“一定の基準を満たしている企業しか、できませんよ”
“財務の健全性をアピールできて、信用力が高まりますよ”
“毎月の返済はないので、資金繰りもラクですよ”
などと誘いをかけてくるわけです。
“そうか、
ウチもいよいよ、それほどの評価を得られるようになったか”
などと、その気になって申し入れる、というパターンが多いようです。
ついでに、
“多少の手数料はかかりますが・・・”と言われます。
もうそのときは、
舞い上がっていますから、“わかったわかった”
などとなり、話しがどんどん進んでしまいます。
で、実際に手数料の明細を見て、驚くわけです。
しかし、それはもう、契約後の話しで、どうしようもできません。
結局、儲かるのは、銀行です。
このような体験談を、よくお聞きするのです。
これがもし、少人数私募債なら、手数料は、ほぼ0円です。
せいぜい、印紙代が別途いるくらいです。
銀行から、
〝御社の財務体質なら、私募債発行の資金調達ができますよ〟
と言われたら、
〝5年償還で初期手数料は総額いくらかかりますか?〟
と聞いてみて下さい。
ちょっといやがる表情をしますから。
(古山喜章)
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