相続・株式対策にまつわる社外流出 ③
③株式返還の文書を事前に交わしておく
こんなことがありました。
経理担当者が、あることに気づきました。
すでに退職した役員が、株式を持ったままだったのです。
退職後、3年を経過しています。
〝社長!3年前に退職した〇〇さん、株式を持ったままです!〟
〝えっ!あのとき買い戻したんじゃなかったっけ?〟
〝社長が買い戻す話しをすると言っておられて、結局、そのままです!〟
〝そういえば、そうだったな・・・。〟
で、この場合、無事に連絡が取れ、スムーズに買い戻せました。
しかし、
このような場合、トラブルになることもあります。
退職のしかたが円満ではなかった。
株を持った元役員が亡くなり、株式が家族に相続されていた。
などという場合、ことは簡単には進みません。
往々にして、もめます。
で、それなりの資金と時間がかかります。
要は、社外流出が発生してしまうのです。
このような事態を防ぐには、株式を渡す際、
覚え書きを交わしてくことです。
例えば役員に渡すのであれば、
「役員を退任する際は、
会社の申し出に従い、株式をすべて譲渡します。
譲渡価額は1株〇〇円とします。」
などという文面の入った文書を作成し、
その役員の署名・捺印をもらうのです。
要は、種類株式でいうところの、
取得条項のようなものを、
社内的に付けてしまうわけです。
このような文書が、
トラブルになった時には、有効になります。
トラブルがなければ、それでよしです。
役員や同族以外の方に株式を渡す場合は、
必ずこのような証拠書類を、残しておいてほしいのです。
署名・捺印をいやがる方には、
株式を渡さないでほしいのです。
(古山喜章)
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