採用氷河期に挑む ⑦
いわゆる就職氷河期の時代、
定着のためのコストは、削減傾向にありました。
つまりは、買い手市場だったからです。
しかし、状況は一変しました。
売り手市場、というより、人がいないのです。
確保できないのです。
ならば、現存従業員の定着策を打ち、
離職防止をしなければならないのです。
不良従業員は、去ってもらって構いません。
しかし、そうでない従業員を、安易に離職させると、
次の人材確保と、戦力化コストは、膨大なのです。
⑦定着のためのコストを惜しまない
その1「給与以外の支出補てん」
ある多店舗展開業の経営者に、聞いた話しです。
“ウチは店長の定着率がいいですよ。”
と、おっしゃるのです。
“給与はこの業界では、まあ相場並みの水準です。
が、それ以外で補てんしている部分があるんですよ。”
“それは何ですか?”
“例えば、
賃貸マンションにすませて、社宅扱いで会社が賃料を負担しています。
車も社有車扱いにしています。
スーツも、一年に一着、支給しています。”
なるほど、これは簡単に退職しないわけです。
生活に必須な支出を、補てんしてあげるわけです。
通常なら、税金など控除された後の手取りの給与から、
それらの支出を個人でします。
その必須な支出部分の一部を、会社が負担するわけです。
店長にとっては、大きなメリットです。
給与が上がれば、会社の法定福利費も上がります。
法定福利費が上がっても、従業員は喜びません。
それに、給与を増やせば、従業員も、
所得税や住民税が増えるだけです。
嬉しいような、嬉しくないような、心情なのです。
ライバル社と比較して、給与で差をつける、
という方法も有効でしょう。
が、もっと実感しやすい形で、ライバル社より差をつけたほうが、
より効果的な定着コストとなるのです。
特に、その店長の奥さん方は、
そのありがたさを実感しやすいでそうです。
だから、
“簡単に退職しないほうがいいんじゃない。
お父さん、この会社で頑張りなさいよ。”
と、奥さんをも味方につけることができるのです。
地方の多店舗展開企業で、
店長人材の補てんをするのは、今や至難の業です。
給与以外の支出補てんで定着を図る、
という方法は、思いのほか、有効なのです。
(古山喜章)
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