死ぬまで辞めない病 ①

後継者と話しをしていると、
“「死ぬまで辞めない！」って言ってますよ!!”
という悩みの声を、伺うことがあります。
そうです、
父親、母親、祖父、祖母、親戚など、
「死ぬまで辞めない病」の方々に、
翻弄されている後継者は、多いのです。
しかし、経営において、
「死んだら辞める」ということほど、
無責任なものはないのです。

①死ぬまで辞めない社長業

まず、多いのは、社長業に就く、父親・母親ですね。
“「死ぬまで辞めない！」って言ってますよ!!”
ばかりでなく、
“自分は死なないと思っているみたいなんですよ！”
などという声を聞くこともあります。

そういう社長業の方に、
“なぜ辞めないんですか？”と、お聞きします。
すると、必ず登場する回答は、
“後継者には、まだまだ任せられない。”
“この厳しい環境を、彼では乗り切れない。”
“彼では会社をつぶしてしまう危険がある。”
など、要は、頼りない、という言葉です。
もっと言えば、不安、なのです。

それはそうでしょう。
自分と同じ、社長業の苦労を味わっていないのは、
はっきりしているわけですから。
とはいうものの、
苦労を乗り切った自分を振り返ってみて、
どうでしょうか？
自分は最初から、
経営の苦労を乗り切る自信があったでしょうか？
それほど頼りがいのある自分だったでしょうか？
みなさん、七転八倒しながら、生き残ってこられたはずです。
有無を言わさぬ厳しい環境のなか、鍛えられたのではないでしょうか？

経営の苦労を乗り切ることができる人物かどうか、
見た目でわかるほど、人間は単純なものではないのです。
だから、不安になるのもわかります。

しかし、この世の中、
経営の苦労に立ち向かう覚悟ができている後継者がいる、
これほど幸せなことはないのです。
ならば、後継者にバトンを託す覚悟を決め、
死ぬまで支えてあげる、
というスタンスに切り替え、
企業の存続を図ってほしいのです。

（古山喜章）

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