減収増益になれば、どうなるのか?
この時期、年度末を迎える企業が多いです。
“今期は、増収増益です!”
他にも、増収減益、減収増益、減収減益、など、
いろいろあります。
しかし、これらの言葉は、P/Lの世界です。
この言葉には、B/Sが見えません。
では、それぞれ、B/Sは、どうなるのでしょうか?
①減収増益の場合
売上高は10%減ったものの、経常利益が20%、増えたとします。
在庫や売掛金のある商売だと、
B/Sは、概ね、次のようになります。
減収なので、売上を示す棒グラフは、10%縮んでいます。
20%増益なので、剰余金は、増えています。
加えて、売上が減った分、流動資産では、売掛金や在庫が減ります。
応じて、流動負債の買掛金や、短期借入なども、減ります。
総資産は、縮みます。
総資産は縮んだものの、自己資本は伸びています。
なので、自己資本比率は、若干上がります。
売上に対する総資産の回転は、若干、悪くなるものの、
自己資本比率は高まり、売掛金や在庫も減ります。
さらに、
総資産が減って、経常利益は増えていますから、
ROA(総資産経常利益率=経常利益÷総資産×100)は、
良くなります。
自己資本比率とROAが良くなるのですから、
企業体力(自己資本比率×ROA)も、良くなります。
つまり、体力が強くなるのです。
そもそも、減収で増益ということは、
コストダウンや、経費削減などがないと、達成できません。
何らかの経営努力が必要なのです。
その結果、企業体力の上昇に、つながるのです。
増収増益の場合、経営努力はないけれど、
世の中の流れでそうなった、という場合があります。
そんなときは、総資産は単に膨らむだけです。
自己資本比率など、中身の改善にはなりません。
ただし、増収増益でも、企業体力が高まっているのなら、
経営努力の要素も加わっていると考えられます。
要するに、増収増益といっても、
良い場合も、悪い場合も、あるのです。
つまり、真の経営努力の跡は、
B/Sを見なければわからない、ということです。
だから、普段から、B/Sを気にかけてほしいのです。
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