二代目 三代目社長が陥る失敗
創業社長は、三無状況(金なし、人なし、売り物なし)からスタートし、
個性、人柄、技術で自社の存在性(アイデンテイー)を生み育て、稼ぐ状態に持って行ったのです。
それぞれの会社は、個々、固有の技術力、企業力が存在しているのです。
二代目や三代目にそれらが正しく受け継がれるかというと、これが一番困難な事なのです。
「木に竹を接ぐ」とはうまく言ったもので、受け継がれないのです。
今、NH製造株式会社(仮名)が存在します。
この会社の創業者は、先発する商品をより複合化した商品を開発し、
材料のコストダウン、パッケージ化にも成功し、
世に出し、好評を博し、市場性においても揺るぎない会社になったのです。
それを引き継いだ二代目は、それらを広めるべく営業活動で市場を回り、
創業者に市場のニーズを伝え、
商品の革新性、技術力、設備力に収益を新たにぶち込んでいったのです。
メーカーである以上、生産設備としての土地、建物、設備の投資、
再投資は重要ですし、専門技術、先端技術の収得と人材育成は言うには及びません。
ところが、三代目となると技術畑の専門性を持っているわけでもなく、
先人の幹部がその領域を占めているので、その方向に目が向くよりも、
売り上げを維持する営業活動力、金融調達、管理能力、情報システム、
国際的志向の処に自分の立つ位置を置くようになり、
いつの間にか、技術開発力の存在性が薄れ、商品力の輝きが落ちてしまうのです。
気が付けば、生産部門には役員たるべき秀でた人材が存在していない!
ライバルと比しても何ら特徴のない会社に陥り、
創業70年にしてピンチを迎える会社になってしまっています。
事例で生産会社を申し上げましたが、
建設業も、運輸業でも成長しえた顧客にとって、
かっては魅力があったにも関わらず、
年をふるごとにそれらの存在性が光を放たず、曇ってゆくのは残念であります。
今、一度、「創業の原点に戻ろう!」などと声を高めるだけではなく、
自社の存在性を絞り込み、それに人、カネ、情報をぶち込むべきであります。
三代目、四代目は、自分の得手なこともあろうが、
創業者の得手、先代の得手は何かを考えてみるべきである。
(井上和弘)
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