困った M&A
M&A(会社売却)の現場に立たせていただく機会が多くなりましたが、
困った経営者、わかっていない経営者がいらっしゃるには、困ったものです。
売却したい経営者は、2つのA社、B社をお持ちです。
社歴があるのですが、収益が低下傾向で、
力の入らないA社を売却したく、M&A仲介会社に依頼して
売却価格は、1.5億を考えておられました。
買い希望者の会社が現れました。
買取会社は当然、デユーデリ(買取のための価格決定調査)を望まれるのですが、
この売却側の経営者は、頑なにデユーデリ調査を拒まれます。
当然、間に入った仲介業者は、困ります。
買取会社も、そのような当然の手続きを行って、
先方希望の価格で購入すれば、背任行為、
新会社法で言うところの誠実義務違反になることが目に見えています。
どうも早く売りたい、お金がほしい事情があれど
デユーデリ調査を拒むのです。見られては悪いことがある、
1.5億では真実、恐らく売れないのでしょうね!
こんなこと,物の売買では当たり前のことが、どうもわかっていないのです。
この人物、女性です。
医療福祉系の法人です。
私は、平素から
・B/S資産(左側)の中身を精査して 時価に近づけ、含み損は吐き出しておきなさい
・会社の売値は自己資本総額(純資産)ですよ 自己資本を高めない。
・営業利益率・高を重視しなさいよ!
と申し上げていますが、
会社の値打ちは純資産高に営業利益の5年間分の金額を足した合計がそれですし、
それが売却価格になるのです。
それだけかといっても、役員退職金も借入金総額もあり、
売値は駆け引きが当然、発生します。
ともあれ、普段から B/Sをしっかりと理解できない、わからない経営者が多すぎます。
買う側もそれがわからずに「欲しい、欲しい」が先にたって購入してみたら、
不良資産が出てきたときに、えらいトラブルになります。
(井上和弘)
新刊本、「儲かる会社をつくるには、赤字決算にしなさい」
がダイヤモンド社から発売中です。
弊社でも、ご注文を受け付けております。
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
道場主 井上和弘の趣味、旅、雑学など、
会社経営からちょっと離れた、日常生活をつづったブログ、
「井上和弘の寄り道スケッチ」もぜひご覧ください!
こちらをクリックしてください。
« 銀行融資のウラ条件 ② | トップページ | 抵抗勢力は、どこにでもある ① »
コメント