「ムリ」と言われたオフバランス③
前回の続きです。
次に地元の顧問税理士から指摘されていたことは、
「②売却額を、不動産鑑定士の評価額から、
さらに25%程度引き下げていること」
これが、税務署から否認される!とのことでした。
不動産鑑定士が出す評価額、というのは、
10人いれば、10人違う答えになります。
正解はありません。
それは、評価を計算するときに、
様々なところで、“見積もり”が入ってくるからです。
・土地の評価額の見積もりなら、
地価の下落率をどう考えるか?
・賃貸物件なら、賃料・稼働率をどうみるか?
・コストがどれくらいかかるのか?
などなど、すべて見積もったうえで、
評価額の計算を行うのです。
だから、鑑定士によって評価額が違うのです。
そして、鑑定士は、
ある程度、こちらの希望を聞いてくれます。
「評価額は高めがいいですか?低めがいいですか?」
こう聞いてくれるのです。
X社の専務は鑑定士に依頼をし、
その1カ月後、“低め”の鑑定評価額を出してもらいました。
私たちは、
そこからさらに25%引き下げて決済させました。
理由は2つです。
①そもそも鑑定評価額というのは、
絶対的なものでなく、あくまで参考値なのです。
実際に、売買の交渉になったとき、
買い手がどうしても欲しければ、値段は高くなるし、
売り手がどうしても売りたければ、値段は安くなります。
今回は、売り手が”財務体質強化”を名目に、
とにかく土地を売りたかったということにしたのです。
②X社が売却した土地は、”工業用”の土地です。
付近の状況を調べると、
土壌汚染の可能性がないとは言えなかったのです。
なので、
『X社が土地を売却したあとに、
万が一、土壌汚染が発覚したら、
取得者には、追加対応コストが○○百万円も必要になる。
だから土地の売却価格を引き下げてくれ』ということにしたのです。
そして、この①②について、
交渉記録を、しっかりと残してもらったのです。
X社は、税務調査の当日、
「売買金額はどのように決定されましたか?」
と質問を受けました。
X社の専務は、ドキドキしながら、
①②の交渉記録をエビデンスとして提出したのです。
調査官はエビデンスに目を通したあと、一言だけ言いました。
「なるほど、わかりました」
これで、なんなく調査を乗り越えたのです。
(福岡雄吉郎)
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