イザというとき、どうなったか ①
決算書を拝見すると、
必要ないのに、銀行から資金を借りて、
現預金をたくさん抱えている、
というケースがあります。
で、お聞きすると概ね、次の言葉が返ってきます。
“イザというときのために・・・。”
“何かあったときのために・・・。”
しかし、そのようなことを言えるのは、
イザというときも、何かも、
来ていないから言える、ことなのです。
①イザというときが来ました
東北のある企業のことです。
“ウチは、イザというときが来たんですよ。”
つまり、東日本大震災です。
取扱う商品が風評被害を受け、
震災直後の年商が、前年の50%を割りました。
“よく生き残れましたねぇ…。”と言うと、
その経営者は、開口一番、こう言われました。
“ウチは、無借金でしたから…。”
“どうしてそう言えるんですか?”
“結局、廃業していった同業者はみな、
借金を抱えていたんですよ…。
元金の返済ができないし、新たに借りることも、
できなかったらしいです。”
だから、
当時無借金であった自社だけは、生き残れた、
と、感じておられたのです。
その会社は、震災後、緊急資金として、
条件が有利な資金を、銀行から借りることができました。
“さすがにあの時だけは、ウチも借りました。
でも、すでに借金をたくさん抱えている同業他社は、
そのときに、借りれなかったんです。”
いかがでしょうか。
まさに、イザというときを体験された方の声です。
借金が多い会社に、銀行が貸さなかったのは、当然です。
原状の返済さえ滞っているのに、新たに貸すわけがないのです。
それに、イザというときほど、
元金返済が大きくのしかかる、ということです。
イザというときの銀行対応も、時代とともに、変わります。
経済が右肩上がりの時代と、そうでない時代とでは、
返済能力の見込みが、全く異なるのです。
取り巻く環境が良ければ、イザというときのダメージがあっても、
追加資金を注入することで、すでに貸し付けている分も含めて、
銀行は回収を見込めました。
だから、借入があっても、貸したのです。
決して、
普段から借りているから、とか、
支店長とのつきあいがあるから、
ではないのです。
回収が見込めるから貸した、だけのことです。
イザというときは、いつ来るのかわかりません。
その備えとは、
不要な借入金を抱えないこと、
と、より多くの経営者にご理解いただきたいのです。
(古山喜章)
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