「会社を買いませんか?」
顧問先O社の社長から、相談を受けました。
「先日 M&Aの仲介会社の○○センターがやってきて、
“企業買収に興味はありませんか?”と提案を受けたんです。
「先方の売却希望は、2.5億円のようです。
役員会で話し合った結果、
この程度なら“買い”と結論を出しました。
どう思われますか?」と資料を渡されました。
「んー、2.5億円は高いですね。高くて2億円でしょうね。」
「なぜですか?」
「会社の価値をはかる目安として、
B/S(貸借対照表)の純資産+のれん代です。
のれん代は、(税引後純利益+減価償却費)の3年分とお考え下さい。
これで計算すると、2.2億円ですが、
土地に含み損がざっと20百万円あります。
だから、ざっと引いて2億円です。
ただし、P/L(損益計算書)が粉飾されている可能性がありますね。
直近で売上、利益が大きく伸びていますが、
売掛金も大きく増えています。ここは、注意が必要です。
計算すると、売掛金の回転期間が、
2年前に1.5ヶ月だったのが、4カ月になっています。
通常、短期間にこれだけ伸びるのはおかしいです。
だから、粉飾しているかもしれませんよ。」
「そうなんですね・・・」
「あと、固定資産の金額が、かなり少ないですが、
建物、機械はボロボロではないでしょうか?
もし、会社を買ったあとには、
取替、修繕などのメンテナスがたくさんかかると思ってください。
社内システムの更新、投資も必要となりますよ。」
「建物の写真を見ると、ボロボロです。
なるほど、確かに追加の費用がかかりますね・・・・」
「最後に、M&Aの仲介会社への手数料が、○千万円かかります。
めちゃくちゃ高いですよ。これもお忘れなく。」
「見えないコストを考えるというのは、難しいですね。
改めて社内で検討します・・・」
「この会社の社長は、80歳を過ぎています。
後継者もいないから、きっと売りたい気持ちが強いはずです。
当社が焦る必要は全くありません。
買い急いで高値掴みをしないでください。」
「わかりました、ありがとうございました。」
仲介会社から提案される資料には、
買い手にマイナスのことは、書いてありません。
十分な注意が必要です。
(福岡雄吉郎)
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