6億円の退職金は高いのか?④
泡盛「残波」で知られる酒造会社「比嘉酒造」(沖縄県読谷村)の、
創業者に対する退職金6億円が、
「不相当に高い」と税務調査で指摘されました。
この6億円の計算については、
前回まででご説明しました。
しかし、この話には、
もう1点テーマとなるべき論点がありました。それは、
「そもそもこの退職金は、“退職金”にあたるのか?」
というテーマです。
今回の件は、
創業者は、代表取締役社長を退任したものの、
取締役として残り続けました。
実は、役員の退職には、
①取締役までおりる場合
②代表権は返上するが、取締役に残る場合
の2種類があります。
創業者、中興の祖と言われる経営者は、
取引先との関係、会社の信用力等を考えて、
②を選択されることが多いです。
これを「分掌変更(ぶんしょうへんこう)」と呼びます。
「退職金」というと、
いわゆる退職と同じように、
会社と縁が切れる、とお考えの方が多くいますが、
そうではありません。
役員としての地位や職務の内容が激変して、
実質的に退職したと同様の事情にある場合、たとえば、
(1) 常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、
実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれます。
(2) 取締役が監査役になったこと。
ただし、監査役でありながら、
実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や、
使用人兼務役員として認められない大株主である場合は除かれます。
(3) 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、
その法人の経営上主要な地位を占めていると
認められる場合は除かれます。
これらの分掌変更の場合、
その役員に支給した退職金は、
損金として落とすことができるわけです。
ただし、注意しないと、
「退職していない」とみられかねません。
こうなると、退職金の全額が否認されてしまうのです。
この点については、次回に続きます。
(福岡雄吉郎)
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