6億円の退職金は高いのか?⑤
泡盛「残波」で知られる酒造会社「比嘉酒造」(沖縄県読谷村)の、
創業者に対する退職金6億円が、
「不相当に高い」と税務調査で指摘されました。
役員退職金でよく問題になるのは、
「退職したのに、退職していない!」ことです。
前回ご説明したように、役員の退職には、
①取締役までおりる場合
②代表権は返上するが、取締役に残る場合
の2種類があります。
創業者、中興の祖と言われる経営者は、
取引先との関係、会社の信用力等を考えて、
②の「分掌変更(ぶんしょうへんこう)」を選択されます。
分掌変更の事例は、前回のブログの通りです。
この場合は、「役員としての地位や職務の内容が激変して、
実質的に退職したと同様の事情にある」
と認められることが大切です。
ここで“実質的に退職した”とは、
どういうことを指すのでしょうか?
公表されている否認事例等を参考にすると、
ある特定の条件にひっかかったらダメ、というよりは、
さまざまな状況を総合的に見て判断されます。
例えば、
・勤務の状況
・経営戦略(方針)の決定
・会議への出席、決裁
・投資判断
・販売契約、仕入契約への関与
・組織、人事、労務
・財務関係(銀行交渉)
これらの項目について、
代表権を返上前後で
まとめておかれるとよいと思います。
創業者、中興の祖と呼ばれる経営者は、
これまで心血注いで会社を成長させた方です。
それこそ、24時間365日、家庭を顧みず、
会社のことを第一に突っ走ってこられました。
そういう方々に、
“実質的に退職していただく”のは、
実は一番難しいことでもあります。
しかし、退職金をもらっておきながら、
退任前とほとんど何も変わっていない、
というのは、税務調査のうえでは、とても危険です。
(福岡雄吉郎)
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