オフバランス ②
世の中は、あっという間に価値観が変わります。
たとえば、液晶テレビの部品メーカーは先端産業であるといわれ、
あらゆる地方都市が造成した工業団地から固定資産税等、
優遇条件で引く手あまたのものが多くありました。
関西のハイヤーインダストリー工業(株)(仮称)も、
物流的に見ても申し分のない工業団地に団地を確保し、
2年後の2010年は地元の市長を迎えての近代的工業の落成式を行ったのです。
落成後、6か月後には 受注すべきはずの仕事は全く来なくなったのです。
それらの工場の必要性は 韓国 台湾 中国に移り
為替レートからも全く存在が否定されてしまったのです。
銀行の言うがままの安値で 土地も建物も売却せねばならなくなったのです。
半導体だけではなく、自動車部品業界も似たような苦境を見てきました。
天国から正に地獄です。
オフバランスで一番多く、手掛けた案件は 本社会社所在地に移転である。
地方の県庁所在地 準所在地に古くより存在する問屋卸業です。
旧市内に本店があり、営業用、顧客用、社員用の駐車場が不足し、
業容の拡大により倉庫もあちこちに確保せねばならず、
当然 本店の業務に差し障りが出てきます。
県の方針により郊外に物流、商業センターが作られ、そちらに移動を進められ、
金融的にも高度化資金が使えるようになり、
そちらに立派な事務センター物流倉庫を作ることになったのです。
B/Sの右側には 土地 建物 設備金額が膨れ上がり、右側には借入金が同量に膨れ上がる。
借入金も返済が始めるわけですが、数字に明るい若い経営者なれば
旧市内の本店の土地、建物の売却による借入金の返済を考えます。
なぜなら 郊外に出来る大型ショッピングセンターの影響ぶりを見ると、
これは早く売却しておかないと
旧市内の駅前の一等地は車社会になって、やがて二等地三等地になってしまう。
魅力のあるうちに決意してオフバランスしました。
今も存続し、家名に恥じない経営を続けておられます。
歴史ある本店をオフバランスしない企業は、今日では無くなっております。
(井上和弘)
【新刊本 発売しました】
平成28年6月にあさ出版から、
「決算書で面白いほど会社の数字がわかる本」
が発売されました(監修:井上和弘 著者:福岡雄吉郎)。
“やさしく、わかりやすく”ページは薄いが中身は濃く、
決算書や会社の数字を解説しています。
弊社でも、ご注文を受け付けております。
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
【20000部(第7刷)になりました!】
平成27年1月にダイヤモンド社から発売した、
「儲かる会社をつくるには、赤字決算にしなさい」
がおかげさまで、増刷を重ねつづけ、20000部になりました。
弊社でも、ご注文を受け付けております。
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
【DVD発売しました!】
DVD「社長の経営財務」を、
日本経営合理化協会より発売しました。
多くの経営者が苦手な、貸借対照表が、
これを見れば驚くほどよくわかります。
詳細&お買い求めはこちらからどうぞ。
【ブログ-井上和弘の寄り道スケッチ】
道場主 井上和弘の趣味、旅、雑学など、
会社経営からちょっと離れた、日常生活をつづったブログ、
「井上和弘の寄り道スケッチ」もぜひご覧ください!
こちらをクリックしてください
« まだできます!即時償却 | トップページ | かつての格付けは、どのように行われていたのか? »
「経営」カテゴリの記事
- 百聞は一見にしかず⑤(2023.09.29)
- 百聞は一見にしかず④(2023.09.28)
- 百聞は一見にしかず③(2023.09.27)
- 百聞は一見にしかず②(2023.09.26)
- 百聞は一見にしかず①(2023.09.25)
コメント