6億円の退職金は高いのか?③
泡盛「残波」で知られる酒造会社「比嘉酒造」(沖縄県読谷村)の、
創業者に対する退職金6億円が、
「不相当に高い」と税務調査で指摘されました。
この6億円は、当初、創業者の
最終月額報酬(①) × 代表取締役の在任年数(②) × 功績倍率(③)
で計算されたようです。
この計算式自体は、ごくごく一般的なものですね。
ところが、税務署は、①について、
創業者の月額報酬ではなく、
「同業他社の最高額」を使うべきだと主張しました。
この同業他社とは、
沖縄県と熊本国税局管内(熊本、大分、宮崎、鹿児島)で、
総売上金額が同社の2分の1以上~2倍以下(倍半基準)
となる酒造会社約30社を抽出して計算したようです。
これを受けて、会社(残波)側では、
②の代表取締役の在任年数を、
「取締役としての在任年数」を使うように考えます。
これで、退職金額が跳ね上がりますね
すると今度は、税務署が、①について、
「同業他社の平均額」を使うべきだと主張しました。
これで、退職金額を抑えられます。
ところが、税務署の主張に対して、裁判所は、
「創業者の会社に対する貢献度を考えると、
同業他社の”平均額”を使うのはおかしい」
と考えました。
「同業他社の最高額を超えない限りは、
不相当に高額な部分があるとはいえない」
と判断したようです。
結局、裁判では、役員退職金の適正額を、
「同業他社の最高額×取締役の在任年数×功績倍率」
と判断することにしたのです。
当初支給した退職金は、この計算式内で収まったため、
結局、会社は勝訴したのです。
「売上20億円の会社で、6億円の退職金」
というとびっくりします。
6億円の計算に至るまでには、
幾通りの方法がありますが、
大切なことは、会社に対する貢献度、功績が十分な経営者には、
相応の退職金を出すべきである、ということです。
(福岡雄吉郎)
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