納税猶予はいいのか?わるいのか?①
「事業承継対策として、納税猶予がよいという意見があります。
どう思われますか?」と、意見を求められることがあります。
納税猶予は、申告をお願いしている顧問税理士から提案される、
という会社が多いようです。
この制度には、
贈与税の納税猶予と相続税の納税猶予があります。
結論から申し上げると、
私はこの制度をお勧めしていません。
理由は2つです。
1.適用するための条件が複雑であること
2.納税猶予であり、免除はされないこと
X社では、事業承継対策として次のように考えていました。
オーナーに退職金を支給する
↓
自社株式の評価を引き下げる
↓
自社株式を後継者に贈与する
↓
その贈与に関する贈与税に納税猶予を適用する
先の2つの理由について、見てゆきます。
まず、納税猶予制度の条件は、
制度の適用前と適用後の2段階に分かれています。
【適用前の条件】
後継者(受贈者)の要件は、贈与の時において、
①会社の代表権を有していること(代表取締役)
②20歳以上であること(これは問題ないでしょう)
③役員の就任から3年以上経過していること(時間が必要です)
④後継者及びその近親者で総議決権の50%超の議決権数を保有し、
かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
(オーナー会社なら、この要件は軽く満たせていそうですが、
歴史ある会社の場合は、意外にこの要件を満たせていない、
という場合があります。)
いっぽうで、先代経営者(贈与者)の主な要件は、
①会社の代表権を有していたこと(これは問題ないでしょう)
②贈与時に会社の代表権を有していないこと(退任済が条件です)
③贈与の直前において、
贈与者及びその近親者で総議決権の50%超の議決権数を保有し、
かつ、後継者を除いたこれらの者の中で、
最も多くの議決権数を保有することとなること
贈与をする側、贈与をしてもらう側、
それぞれに条件があります。
さらにややこしいのは、適用後の条件です。
(次回につづきます)
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