少人数私募債は、なぜ「資本金」とみなされるのか。
金融庁が銀行に対して発行するルールブックのなかに、
「金融検査マニュアル」というものがあります。
銀行が企業に融資をする際の見かた・考えかたが、
細かく書かれています。
さらに「別冊」というものがあります。
「別冊」のサブタイトルは、「中小企業融資編」です。
わざわざ「別冊」としているのは、融資において、
“大企業と中小企業では、見かた・考えかたが違いますよ。”
ということです。
そこには、中小企業への融資における、
検証ポイントが記載されています。
具体的に、最初に挙げられている検証ポイントは、
「代表者等との一体性」をよく見なさい、ということです。
さらにその筆頭は、
「実態的な財務内容を見なさい」となっています。
その解説として、
「代表者等からの借入金は、自己資本に加味しなさい」
ということが記載されています。
「代表者等」となっているのは、
代表者とその家族・親戚や、密接な関係のある者を含む、
となっているからです。
例えば、
“「少人数私募債」は、銀行の評価では、
自己資本とみなされますよ!”
と、私たちは言い続けています。
その根拠が、ここにあるのです。
「少人数私募債」は、代表者や家族、取引先など、
いわば身内の者や親しい間柄の者が、引受人です。
しかも、それはどちらかといえば、
いやいや引き受けたのではありません。
引受人は、余裕のある資金を出資しているのです。
で、金利でのリターンを期待しているのです。
まさしく、出資金と同様なものです。
引受人は、すぐに返してもらいたくないのです。
なので、貸借対照表の固定債務に記載されていても、
「それは実態として、自己資本に加味しなさい」
ということに、なるのです。
債務ではあるものの、早期返済を要するものではない、
とみなすのです。
ただ、貸借対照表の記載方法には注意が必要です。
例えば、「少人数私募債」なのに、
「社債」と記載されていた例を見たことがあります。
間違いではないです。が、「社債」となると、
決算書データを入力する銀行の人は、
銀行引き受けの「社債」とみなします。
そうなると、単なる「有利子負債」扱いです。
自己資本とはみなされません。
もっとひどいのは、
「長期借入金」と記載されている例です。
他の銀行借入金と、合算されてしまっているのです。
これらのことは、
会計事務所に任せっぱなしにすることで、
発生してきます。
多くの会計事務所は、
銀行が勘定科目をどう評価するかなど、
まったく気にもしていないし、知らないのです。
経営の生命線は、資金繰り、キャッシュフローです。
この生命線を太く強くするには、
決算書に対する銀行の見かた・考え方を、
経営者自らが知る必要があります。
加えて、会計事務所にその必要性を説き、
財務の実態が銀行に伝わる決算書、
にしておかねばならないのです。
(古山喜章)
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