会社はすぐには売れません④
この夏に、
M&A(会社の売買)に携わる機会がありました。
買い手は九州地方のA社、
売り手は中国地方のB社です。
M&Aは、最近、M&Aの仲介専門会社を通して
行われることが圧倒的に多いです。
前回、M&A仲介会社から出されるレポートで、
実質営業利益がかさ上げされているので、
注意が必要だと、申し上げました。
会社の価格を決めるうえでは、
会社が年間でどれだけのキャッシュを生んでいるか、
使えるお金(キャッシュフロー)の計算が重要です。
B社の場合のキャッシュフローは、ざっくりと、
「実質営業利益+減価償却費」で計算されていました。
これは、EBITDA(イービッタ)と呼ばれたりしますが、
これがいわゆる“のれん代”です。
通常は、貸借対照表の自己資本に、
この“のれん代”を上乗せして、
会社の価格を決定します。
会社の価格とは、つまり、
会社の売買契約が成立したときに、
売る側の株主(オーナー)に支払う対価ですね。
M&Aの交渉中は、
この会社の価格にばかり目が向きますが、
この他にもお金はかかります。
①ITシステムなどの統合費用
通常は、買う会社と売る会社で違うシステムを使っています。
また、いまだに紙ばかり使っている会社があれば、
IT化を進める必要があります。
このお金はバカになりません。
②設備投資
ITと同じく、設備投資が必要な商売であれば、
老朽化した設備の取替、更新費用がかかります。
③M&A仲介会社に対する手数料
これが一番、やっかいです。
最低、数千万円は必要なうえ、
損金に落とすことができません。
株式の取得対価の中に含められてしまいます。
これらは一例ですが、
M&Aには、会社の価格以外に、
買収後のコストも考えておく必要があります。
(福岡雄吉郎)
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