仁義なき銀行交渉 個人保証死闘篇①
金融庁は銀行に対し、
“保証に頼る融資から脱却せよ!”
と、大きく声を上げています。
が、銀行と中小企業の交渉の現場では、
いまだそんなことはおかまいなしの、
仁義なき銀行交渉が、繰り広げられているのです。
①個人保証なしで融資できるのは、上場企業だけです。
ある会社が、銀行からの融資を受けることになりました。
年商数億円の会社で、融資額は数千万円です。
銀行は、その地域では二番手の、地方銀行です。
その会社の経営者は、心配していました。
“ウチみたいな年商数億円程度の会社で、
個人保証なしでなんて、貸してくれますかね?”
“何を言ってるんですか?
自己資本比率40%で、
営業利益率も4%を維持し続けているじゃないですか。
銀行にとったらリスクの低い融資ですよ。
それに、金融庁は保証に頼らない融資をせよ!
と、銀行に対して言ってるんですよ。”
“そうですかねぇ。大丈夫ですかねぇ。”
“じゃあ、この資料も見せて、
個人保証は無しの融資を交渉してください。”
と、個人保証に関する、
金融庁の方針が記載されたパンフレットを渡しました。
“わかりました。交渉してみます。”となりました。
数日後、交渉結果の連絡がきました。
“やっぱり個人保証は要ります、って言うんですよ。”
“パンフレットも見せたんですか?”
“もちろん。いただいたパンフレットを見せて、
「今は個人保証をとるな、
と金融庁の指導があるんじゃないんですか?」
と、支店長に言いました。”
“で、支店長は何といわれたんですか?”
“そのパンフレットを手にとって目を通して、
「そうですねぇ。そのような方針があるようなんですが、
実際はまだまだ、個人保証無しで融資をできるのは、
上場企業だけなんですよ。」
と言われたんです。”
で、そのまま進展なく、その日の交渉は終わったそうです。
個人保証に頼らない融資の指導を受けていても、
取れるものなら個人保証をとりにかかる、
それが今の多くの銀行です。
個人保証を取り付けたからといって、罰則はありません。
しかも、この約20年、“不良債権を出すな!”
という金融庁の指導のもと、
口八丁で個人保証・担保を取り付けてきたのです。
その結果が、人事にも影響していたのです。
そう簡単に、その思考行動は変わらないのです。
自分たちの環境・立場が悪くなっているのに、
そのことに気づいていないのです。
個人保証無しで融資できるのは、上場企業だけなんて、
完全なるハッタリです。
その支店長だって、わかってます。
彼らはそれを専門に交渉してきたプロです。
この人物のこの様子なら、こういえば通るんじゃないか、
という腹を持っています。
ハッタリでも、個人保証を取れれば、
彼らにとってはパーフェクトな融資なのです。
しかし、こちらもその条件をのむ気はありません。
“じゃあ、「金融庁に言うぞ」のカードを出しましょうか。”
“えっ、そんなこと、言ってしまっていいんですか?
もう絶対に貸さない、とか、なりませんか?”
“大丈夫です。彼らは貸したいんですよ。”
となり、再度支店長に交渉を投げかけたのです。
つづく・・・。
(古山喜章)
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