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2017年4月 6日 (木)

仁義なき銀行交渉 東芝VS銀行団②

融資継続か否か、このところ、
東芝VS銀行団のバトルが過熱しています。
月末が近づくにつれ、この記事が増えてきます。
この交渉には、さまざまな駆け引きが渦巻いています。
その内容は、
中小企業においても、参考とすべきことが多いのです。

②どうして東芝が「正常先」なのか?

銀行交渉に強くなるには、
“銀行による格付け(スコアリング)を良くしなさい!”
と、言い続けています。
そのためには、
営業利益と自己資本比率を高くしなさい、と申しております。

東芝は、もはや債務超過です。
つまり、自己資本比率はマイナスなのです。
なのに、融資額が多いメイン4行の格付けは、次の通りです。
三井住友銀行(融資額1750億)=正常先
三菱東京UFJ(融資額1050億)=正常先
三井住友信託(融資額1250億)=正常先
みずほ銀行(融資額1750億)=要注意先

主要4行の内、3行が「正常先」です。
正常先とは、上場企業しか獲得できない、格付けのトップです。
上記の銀行から融資を受けているなら、
“債務超過の東芝が正常先で、自己資本比率〇%のうちは、
 どうして格付けがココなの?”
と、言ってやればよいのです。

なぜ、上記3行は今なお、格付けを「正常先」とするのか?
考えられる理由は大きく2点です。
①貸倒引当金を計上したくない。
②銀行団に入っている地銀等を、離したくない。

まず①です。
銀行は格付けに応じて、
貸倒引当金を販管費に損失計上する必要があります。
計上すれば当然、業績が悪化します。
銀行の自己資本比率にも、悪影響を及ぼします。
「正常先」なら、引当金は不要です。
「要注意先」なら、融資額の約5%が、貸倒引当金の目安です。
融資額が1750億なら、約88億の損失計上です。
そんなことは、したくないのです。

そして②です。
銀行団には、地銀など約75行が参加しています。
融資額はそれぞれ、10億前後~100億前後です。
メイン4行に比べたら、小さい額です。
が、各地銀にとっては、大きな額ですし、
地銀などの総額は、約5000億なのです。
これらの地銀が銀行団から脱退し、
これ以上の融資増額はしない、となれば、
その穴埋めは、メインの4行にかかってきます。
今でも重荷なのに、これ以上のリスクは負いたくないのです。

その地銀を引き留めるため、
メイン銀行は東芝の格付けを「正常先」として融資し、
“だから地銀も協力してくれよな。”と言いたいのです。
地銀はメガバンクに対して、どこか劣等感があります。
銀行団の中での、銀行同士の力関係を、巧みに利用しているのです。
逆に言えば、地銀はメインの動きを伺いながら意思決定しているのです。

そこへ、手のひらを返したメインが、みずほ銀行です。
みずほ銀行は2月下旬、東芝の格付けを、「要注意先」に落としました。
それを知った地銀が、ついに声を上げ始めたのです。
(続く・・・)

(古山喜章)
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