銀行交渉のカン違い➂
銀行を取り巻く環境は変わり、
銀行優位の時代は遠き過去のこととなりました。
しかしながら、あの頃と同じ感覚で銀行交渉をし、
大きな勘違いをされている経営者に、
今も出会うことがあるのです。
➂定期預金があるから借りれている、と思っていた
決算書を拝見すると、
現預金が多いのはまだいいのですが、
借入金もそれなりにある、という場合があります。
こんなことがありました。
“これだけ現預金があれば、返済にまわせばいいじゃないですか?”
と言うと、
“現預金になってますけど、定期預金が多いんですよ。”
とおっしゃるのです。
“解約して返済にあてたらいいじゃないですか?”
“いや、解約したら、今度借りたいときに、
銀行は貸してくれないんじゃないですか?”
“そんなこと、誰が言ってるんですか?”
“いやぁ、ずいぶん以前にそうだったような気がして・・・。”
“いったい、いつの話しですか?”
“う~ん、25年以上は前ですかね・・・。”
要は、
バブルやそれ以前のころの体験を、引きずっておられたのです。
その会社では、長期借入をして、
予定通りに返済できるキャッシュを稼いでいました。
なのに、銀行員から頼まれて、
定期預金を言われるがまま、増やしていたのです。
しかしそうなると、今度は返済資金が足りません。
で、銀行はさらに、
“返済資金として、短期でお貸ししますよ。”
と言ってくるわけです。
銀行にすれば、長期で貸して、その返済資金のために、
短期も貸している。
長期と短期のダブルで金利を稼いでいるのです。
こんなにおいしい話しはありません。
しかも、稼いだキャッシュは定期預金で積み上げさせて、
万が一の回収資金も確保しているのです。
銀行にすれば、してやったりなのです。
それでも経営者は、銀行とは良い交渉ができている、
と思っていたのです。
「銀行のお願いを聞いてあげているから、
ウチが必要な資金を貸してくれている。」
と、思っていたのです。
数十年前に、銀行借入で苦しんだ経営者が、
このような銀行サマサマ病から抜け出せていない、
という事例が、今もあるのです。
銀行が企業に対して必要以上の融資をする、
という行為を、金融庁は禁止しています。
先の事例は、間接的とは言うものの、
貸し付けた資金を定期に入れさせる、
いわゆる部積み両建て行為に該当するのです。
今どき、定期預金をしても、
なんのうま味もありません。
借入金があるなら、その返済に充てたほうが、
よっぽど得なのです。
(古山喜章)
【新刊本 発売しました!】
井上和弘の最新刊
『承継と相続 おカネの実務』が発売されました。
オーナー経営に精通した井上和弘が生み出した事業承継対策が満載です!
難しい専門用語は一切なし!多くの実例を示して、
あくまでも社長目線でわかりやすく解説しています。
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
「儲かる会社をつくるには、赤字決算にしなさい」(ダイヤモンド社)
が、おかげさまで発行数20000部を突破しました!
弊社でも、ご注文を受け付けております。
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
【ブログ-井上和弘の寄り道スケッチ】
道場主 井上和弘の趣味、旅、雑学など、
会社経営からちょっと離れた、日常生活をつづったブログ、
「井上和弘の寄り道スケッチ」もぜひご覧ください!
こちらをクリックしてください。
LINEアプリのタイムラインにて、
巷で出会ったスイーツを、3行だけ書いて紹介する、
「スイーツ3行書く命」を配信しています。
ID:icofuruyama で、LINE内で検索ください。
« 美術品 つつ"き | トップページ | 高額の役員退職金を出すために⑥ »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい④(2023.07.14)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい➂(2023.07.13)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい②(2023.07.11)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい①(2023.07.10)
- 特別損失を活用しなさい(2023.05.02)
コメント