ある有名な大阪の税理士大先生が 事務所の定期刊行物に
「税金を支払わないと 内部留保が貯まらない!」
と述べられていました。
この言葉の「呪縛」にとらわれて、我々、中小企業者は、
いかにこの「嘘」にダサまされて来たことか!
税金を支払わない → 赤字である → 「赤字は経営者の罪である」
という簡単な思考で、この言葉にとらわれて経営を続けていらっしゃる
真面目な方が多いのです。
平成4年~平成14年 この10年間だけでも多くの会社、
100万社以上がバブル崩壊で,マサカの時のために持っていた投資有価証券、
土地、金融債、在庫商品は値下がり、含み損を抱え、
得意先の売掛金、受取手形は不良化してしまいました。
損益計算書上は、黒字でも、貸借対照表のB/Sでは
会社を揺るがす赤字を含んでいるのです。
それを表に出すこともせず、辛抱してこられたのです。
この様な状態に陥った時、土地担保主義、信奉者の金融機関は、
たちまち 立ちいかなくなり、倒産、合併で、11行あった都市銀行は、
4行になってしまいました。
不良担保物件は、10%で債権回収会社に売却し、
特別損失を出して5~6年間も利益を出しても繰り延べ損失で、
税金は、一銭も払わず健全になっています。
足利銀行など その一例で、今やこの銀行は優秀なる銀行になっています。
この現実は何なのでしょう・・・
銀行だったから・・・・
政府がテコ入れしたから・・・・・
「税金を支払わないと 内部留保が貯まらない」が
「嘘」と私が申し上げる理由は、確かにこれは、一面は正しいが、
一面から見れば間違いなのです。
「利益を上げても税金を支払わなければ、内部留保は増える」のです。
経常利益が1億円出たとしましょう。
特別損失(不動産売却損とか有価証券売却損とか、台風被害とかで特別損)が、
1億円出たとすると法人税はゼロとなり、予定納税は戻ってきますし、
地方税もゼロになりますし、B/Sの資産が減るだけで、現金は返って増加し、
自己資本利率はよくなってしまうのです。
税理士さんは,P/Lしか頭になく、B/S思考がないので、
これが解らないのです。
公認会計士、税理士、弁護士という士業の方々は、
金融知識が欠如されているのでしょうか?
どうすれば銀行交渉がうまく行くのかということがわかっておられないので、
全く 間違った指導をされるのです。
「含み損はできるだけ早め 早めに出して営業利益は黒字にして、
税引き前利益はできるだけ小さくする」
「上場企業でないなら リース資産、リース負債は B/Sには計上しない、
する必要がない。
総資産(資本)を小さくすれば自己資本比率は高まる」
「キャッシュフロー(使えるお金)は、 営業利益 + 減価償却の合計、
この2つの勘定科目を上げる努力をすることが銀行対策ですね」
「税金による社外流出を抑えることが内部留保をよくする」
「純利益高分の現預金は 毎年 増加すべきです」
(井上和弘)
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