M&A実例⑧
2つの会社から立て続けに、M&Aの相談がありました。
P社はM&Aによって、D社の株式を取得しました。
自己資本比率が10%、借入リッチなP社が、
10年近く赤字を続けているD社を取得したのです。
実はこのD社、無借金経営です。
おまけに自己資本比率がまだ50%近くもありました。
なぜ、無借金か?
もちろん、過去にたくさん儲けて、
超がつくほどの、キャッシュリッチな会社であったことが、
一つの理由であることは間違いありません。
しかし、D社の貸借対照表(面積グラフ)を見て、びっくりしました。
売上債権(売掛金、受取手形)に比べて、
仕入債務(買掛金、支払手形)が、
はるかに大きいのです。
計算してみると、
売掛金の回収サイトは、1.5カ月程
これに対して、
買掛金の支払サイトは、5カ月以上
つまり、「回収は普通だけど、支払がめちゃくちゃ遅い」
状態だったのです。
だから、少々の赤字が続いたくらいで、
資金繰りに苦しむことはなかったのです。
D社の社長に言いました。
「御社の資金政策は素晴らしいですね」
D社の社長いわく、
「はぁ~、そうなんですか~。よくわかりませんけども・・・」
D社の社長は、創業一族ではありません。
創業者はすでにお亡くなりになり、
その後、D社の幹部陣が次から次に社長に就いてきました。
短期間に社長がコロコロ変わっている会社であり、
経営陣のリーダーシップは決して強い方ではなかったのです。
もともとP社とD社は協業しており、
合同会議では、常にP社の社長がリードしていたようです。
そして、いつかの会議の際に、P社の社長が、
「これじゃあ経営統合しているのと、変わらないじゃないですか!」
と発言したそうです。
そして、D社の社長はこう言いました。
「確かにそうですね」と。
ここからP社とD社は、経営統合に向けて
大きく舵を切ったのです。
(福岡雄吉郎)
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