一般社団法人の節税策が封じられる?
昨日の日経新聞朝刊の記事の引用です。
政府・与党は相続税の過度な節税防止に乗り出す。
一般社団法人を設立して相続税の課税を逃れたり、
住宅を贈与して宅地にかかる相続税を減らしたりする節税策が広がっており、
2018年度税制改正で具体的な対策を講じる。
相続税は15年から始まった増税で課税対象となる人が増えており、
節税策を封じて課税の公平性を確保する。
「一般社団法人の問題は放置できない」。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は社団法人を使った節税を問題視する。
社団法人は08年から営利目的でも設立できるようになったが、
株式会社と違って相続税はかからない制度となっている。
企業の株式に当たる持ち分が存在しないからだ。
役員の人数や親族の割合に関する定めもなく、比較的容易に設立できる面がある。
この仕組みを悪用して節税に使うケースが増えている。
まず親が代表者となって法人を設立し、資産を移す。
その後に子供を代表に就かせ、法人の支配権を継承すると、
資産には相続税がかからない。
この仕組みを使えば、子供ばかりか、
孫やその先の代まで、延々と非課税で資産を相続できる。
私たちICOでは、事業承継の対策として、
一般社団法人の活用をお勧めはしてきませんでした。
理由は、上記に書いてあるように、
一般社団法人には議決権が存在せずに、
頭数で意思決定が行われるからです。
株式会社の場合であれば、
意思決定は株主総会で行われます。
株主総会は、株式をどれだけ保有しているか、
3分の1超なのか、2分の1超なのか、あるいは3分の2超なのか、
これで意思決定できる内容がかわります。
つまり、資本主義なのです。
ところが、一般社団法人の社員の意見が合わなかった場合に、
資本力ではなく、社員の多数決で決められます。
だから、意見が合わない、あるいは結託されると、
運営がうまくいかず、ひどい場合は乗っ取りもありえます。
こうした面から、一般社団法人をお勧めしていませんでしたが、
今回の税制改正で、相続税対策としての旨みも消えてしまうことになります。
(福岡雄吉郎)
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