メインバンクという地位に甘える銀行
沢井商店(仮)は小売業を営んでいますが、
商売は厳しく、借入金は年商以上に上っています。
自己資本比率は10%程度、
貸借対照表の右側は借入金だらけです。
一方左側には、土地と建物です。
この5年でその金額は1.5倍になり、
誰の目にも過剰投資であることは明らかです。
沢井社長は、いわゆる典型的な売上至上主義で、
一に売上、二に売上、三に売上・・・
というような方でした。
平均銀行金利は、約2%。
会社の財務体質からすれば、決して低金利は望めませんが、
それでも金利だけで約30百万円、
毎年社外に流出しているのです。
不採算店舗の閉鎖、売却や
役員報酬の大幅カットと合わせて、
金利もどうにかしなければいけません。
「社長、御社の財務体質は確かに悪いですが、
それでもこの金利を下げないことには、体力が持ちません。
銀行交渉して金利をさげましょう。」
沢井商店の取引銀行は9行、
メガバンク、地方銀行、政府系と、
借りられるところからは全て借りています。
「社長、御社のメインバンクはどちらになりますか?」
「JY銀行です」
「地方銀行のなかでは、手堅く経営している銀行ですね。
JY銀行の本拠地は、御社のエリアから遠く離れたところにありますが、
なぜ、JY銀行なのでしょうか?」
「はい、JY銀行が当社のメインバンクになったのは、
会社の創業時に助けてもらったからです。
当時、裸一貫、信用も何もない状態から商売を始めた私に、
信用金庫でさえ、貸してくれませんでした。
そんなときに、当時の支店長が特別に融資してくれたんです。
あのときの融資がなければ、今の当社はありません。
それ以来、JY銀行はわが社にとってメインバンクなんです。」
「しかし、社長、融資残高でみた場合、
このJY銀行の残高は他の銀行より少なくて、
最近は、政府系のほうが積極的に融資してくれていますね。
おまけに金利だってほかの銀行と比較しても高いですよ!」
「そうなんです、昨年、支店長が変わってから、
ちょっと手ごわくなったというか、態度が今までとかわってきているんです。
交渉したって、金利は下がらないんじゃないでしょうか・・・」
「そんなことありません。
絶対に下がりますから、まずは各銀行にあたってください」
(次回につづきます)
(福岡雄吉郎)
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