経営者の「やってはいけない」②
書店へ行くと「〇〇してはいけない」
というタイトルの本を、今もよく見かけます。
それだけ、してはいけないことをしている方が、
多いということなのです。
経営者にも、「やってはいけない」ことが、多々あるのです。
②銀行が勧める「事業承継対策」
事業承継対策は必要です。
が、銀行が勧める「事業承継対策」は、やってはいけないのです。
なぜなら、銀行借入がもれなくついてくるからです。
それだけではありません。
これまで銀行提案の王道だった方法に、
昨年以降、当局からの否認が相次いでいるのです。
「持株会社を作って、その会社にオーナーの株を譲渡しましょう。
株の購入資金はもちろん、当行が融資させていただきます!」
という方法です。
このような提案書を、私もこれまで一年に数回は目にしてきました。
それだけ、あちこちで使い古された方法なのです。
持株会社設立や株式譲渡が否認されるのではなく、
その後、設立会社の株式を贈与・譲渡した際の申告時に、
「株価の減額は認めない!」というものです。
否認理由は、
「節税以外の目的がない会社設立だから。」ということです。
否認されたあとに残るのは、
持ち株会社での借入金と、後継者への追徴課税だけです。
しかも、否認された時にはおそらく、
提案してきた銀行員は、その支店にいないでしょう。
支店閉鎖や銀行合併が起こってしまえば、ますます、
文句の言い先がなくなっていきます。
どこかの晴れ着レンタル会社みたいなものです。
結局、うま味を得るのは銀行支店と担当者だけです。
融資実績でうま味、融資の金利でうま味。
さらに、持株会社に融資した資金は結局、オーナーの手元に渡ります。
その資金を自分の支店に預金させ、金融商品を売り込んでうま味。
と、銀行だけが、うま味をしゃぶりつくす、というわけです。
税理士先生に言いたいのは、
数十万円の電話加入権除却に、合理性がないとかどうとか言う前に、
銀行の無茶な提案こそ阻止しなさいよ、ということです。
そもそも、銀行の提案スキームを事前チェックする、
銀行お抱えの顧問税理士は何をしていたんだ、
と言いたくなるのです。
「その提案、受けたことあります!」という経営者も多いはずです。
しかし、銀行からの「事業承継対策」は、
絶対に、やってはいけないのです。
それに何と言っても、銀行が勧めるこの対策では、
株価が劇的に下がるわけではありません。
持株会社での借入金も残ります。
経営者としては、問題が解決した気にならないのです。
だから、「こんな提案を受けましたが、どうでしょうか?」
と、皆さん相談にこられるのです。
(古山喜章)
【新刊本 発売しました!】
古山喜章の最新刊
『社長の決算書の見方・読み方・磨き方』が発売されました。
会計事務所任せの決算書では、稼いだお金が残りません!
決算書は、できあがってくるものではなく、意図をもって作るものです。
財務の基礎を学び、実用的な決算対策情報が満載の一冊です!
難しい会計用語は使いません!社長だけでなく、
財務担当の方にもぜひ一読いただき、実務の理解をしてもらってください!
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
【ブログ-井上和弘の寄り道スケッチ】
道場主 井上和弘の趣味、旅、雑学など、
会社経営からちょっと離れた、日常生活をつづったブログ、
「井上和弘の寄り道スケッチ」もぜひご覧ください!
« 平成30年度 税制改正 | トップページ | 平成30年度 税制改正② »
「経営」カテゴリの記事
- 規模の拡大を追うな⑤(2024.11.15)
- 規模の拡大を追うな④(2024.11.14)
- 規模の拡大を追うな➂(2024.11.13)
- 規模の拡大を追うな②(2024.11.12)
- 規模の拡大を追うな①(2024.11.11)
コメント