高額退職金の裁判事例 ④
昨年、建材金物の製造販売業の会社の
代表取締役(創業者ではない)に対して支払われた
死亡退職金をめぐって、東京地裁が判決を下しました。
会社は、売上が13億の会社です。
支払った退職金は、4.2億円です。
会社が、最終報酬 × 役員年数 × 6.5倍
として退職金を計算したのに対して、
税務署は、最終報酬 × 役員年数 × 3.26倍
が適正額として主張しました。
双方納得せず、裁判となりました。
そして、昨年、裁判所は4.89倍が適正と判断しました。
この倍率は、同業他社で実際に使われた倍率をもとに計算されています。
ここでいう同業他社というのは、
次の①~⑤を基準に選ばれました。
①同一県内にある会社
②業種の細かい分類が同じ会社
③売上金額がこの会社の半額以上、倍額以下であること
(倍半基準といいます)
④この会社と同じく、死亡を理由として、
代表取締役に対する支払われた役員退職給与の支払があること
⑤訴訟等が発生していないこと
この条件を満たすような会社の倍率を使って、
4.89倍という倍率を出したのです。
同業種というだけでなく、
売上額が半分以上倍額未満という基準、
あるいは、同様の事情で支払われていること、
といった内容もポイントとなりました。
で、なぜ、裁判所は4.89倍という数値を使ったのか、ですが、
これは、税務署が使った3.26倍という数字を、
1.5倍しているのです。
3.26×1.5=4.89、なのです。
では、なぜ1.5倍したのか、ですが、
これに明確な理由はありません。
ただし、この社長は役員に就任してから、
①一時8億あった借金を返済した
②売上高を倍にした
③経営者の世代交代の橋渡しをした
など相応の功績を残しています。
本来、役員退職金は、退職した役員の具体的な功績等に応じて支給されるべき、
ということで、相応の功績を残したこの社長に、
4.89倍という倍率が認められたのです。
国税側は、この判決を不服として控訴していますが、
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