法人での生命保険は、何のためか?②
決算期が近づいたり、決算予測が見えてくると、
生命保険の加入を検討することがあります。
しかし、経営者の声を聞いていると、
勘違いしていませんか?ということがあるのです。
②解約時に利益計上されるなら、同じじゃないですか?
節税対策の一環として、
全額損金計上の生命保険加入を経営者にお勧めすると、
「解約時に利益計上されるなら、同じじゃないですか?」
と返答されることがあります。
確かに、返戻率の高いピーク時に解約すれば、
その解約金は利益計上されます。
なので、解約時の課税対象利益は増えます。
しかし、解約するのは、5年~7年先です。
現状の法人税率と、
5年後や7年後の法人税率を比べたら、どうでしょうか?
おそらく、現状の法人税率の方が高いはずです。
ならば、現状の課税対象利益額を下げたほうが、
法人税での流出をおさえる効果が高いのです。
要は、利益を先送りすることで、
残るお金の流出を、少なくすることができるのです。
それに、5年後や7年後に、
今と同じように節税対策をしなければいけないほど、
課税対象利益が出ていると、言い切れますでしょうか?
利益を先送りすることで、
営業利益が想定以上に落ち込んだとしても、
保険の解約を雑収入で計上して、
経常利益を上げることが可能になります。
大震災や災害時に、
生命保険を解約して経常利益を上乗せし、
解約返戻金を役立てることができた、というケースもあるのです。
「でも、何もなければ、やっぱり利益は増えますよね?」
と、それでも食い下がる方がおられます。
ならば、一気に解約せずに、
数回にわけて解約してゆけばよいのです。
生命保険の解約は、一括全額解約だけではありません。
部分解約ができるのです。
部分解約というのは、保証額を下げることです。
1億円の生命保険なら、7千万円に、つぎは3千万円に、
などと、順次下げればいいのです。
解約返戻率が高いピーク時は、3年~5年、続きます。
その間に、数回にわけて部分解約するのです。
そうすれば、利益計上を分散させることが、できるのです。
つまり、生命保険を活用することで、
利益計上を意図的にコントロールできるのです。
「とはいうものの…」
と、それでも反論される方には、これ以上は申しません。
「お好きなようにしてください。」
としか、言いようがないのです。
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