融資至上主義が、銀行員の秩序を狂わせた➂
「シェアハウスのオーナーになりませんか?
賃料収入は30年間、保証しますよ。
融資はスルガ銀行がバックアップします!」
投資意欲のある多くのサラリーマンが、
販売業者の甘い言葉に誘われてしまいました。
案の定、販売業者は倒産し、投資した人の手元には、
億単位の借金だけが残りました。
➂スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 その2
スルガ銀行の行員は、なぜ、データ改ざんまでして、
個人へ億単位の融資を行ったのか。
そこには、
雇われ社長に課せられた、過大なプレッシャーが根幹にあった、
と見ています。
スルガ銀行は、岡野一族による同族会社です。
創業以来、岡野家が頭取の地位を占めてきました。
今も、代表取締役会長は岡野一族です。
テレビ等で頭を下げている姿を見るのは、
スルガ銀行生え抜きの、雇われ社長の米山氏です。
米山氏には、一族から過大なプレッシャーがあったはずです。
“6年連続右肩上がりの営業利益を継続せよ!”
“静岡銀行と横浜銀行を出し抜け!”
“岡野家の面目をつぶすな!”
そのプレッシャーのもと、現場の行員には、直属上司から
これまたパワハラまがいの暴言が飛び交っていた、
と元行員の証言が出始めています。
“今月のノルマ締め切りは今日だぞ!
2億足りないだろ!どうするんだ!
何が何でも融資とれるまで、帰ってくるな!”
といった具合です。
そのような状況下で人間は、
精神的プレッシャーから解放されることを優先に行動します。
“こんな融資はダメなんじゃないか。”
“万一、お客様に迷惑をかけることになったら…。”
といった、
顧客のリスクを考える余地など、なかったはずです。
プレッシャーから逃れるべく、
ただひたすらに、ノルマ達成マシーンになっていたのです。
危険タックル問題と、よく似た構図です。
加えて、
シェアハウスの運営会社スマートデイズからも、
新たに破たんしたゴールデンゲインからも、
物件1棟あたり数百万円のリベートを、
スルガ銀行が受け取っていたことも、明るみに出てきています。
雇われ社長が一族からの強烈な使命に対応すべく、
本来の理念を見失い、顧客を苦しめる結果に陥ってしまったのです。
しかしこの1件は、特別なことではないと思います。
どの銀行にせよ、似たり寄ったりのはずです。
同族経営でないにせよ、カネ余り、銀行過剰、低金利、
という厳しい環境のもと、
「とにかく貸してこい!」という状況は、同じなのです。
データ改ざんまでには至っていないにせよ、
ビクビクしている銀行員は、たくさんいるはずです。
「あんたとこは大丈夫なの?」
と、取引銀行の担当者に、声をかけてみてほしいのです。
(古山喜章)
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