中小企業の経営は、ROAで考えなさい
中小企業の経営者は、
「ROE」で考えてはいけない、
「ROA」で考えなさい、と申し上げました。
ROAは、Retern on Asset の略です。
「総資産経常利益率」を表します。
計算式で言えば、
経常利益額 ÷ 総資産額 × 100 です。
この数字が大きいほど、
総資産額に対する経常利益額が大きい、ということです。
「ROE」は自己資本に対する当期純利益額であるのに対して、
「ROA」は総資産に対する経常利益額です。
総資産には、自己資本も負債も含みます。
不要な借入金が増えれば総資産額は膨らみ、「ROA」は悪化します。
いかに少ない総資産で、いかに経常利益を稼ぐのか、
を考える経営指標が「ROA」なのです。
「ROA」は企業の稼ぐ力を表す、世界共通の経営指標なのです。
「ROA」を向上させるには、
経常利益額を増やすのか、貸借対照表の総資産を減らすのか、
しかありません。
総資産を減らすには例えば、
余分な現預金を持たない、
余分な売掛金・在庫を持たない、
余分な土地・建物を持たない、
ということに取り組む必要があります。
「余分な」とは、
稼ぐことに役立たない、
自前で持つ必要がない、というものです。
その目線で貸借対照表の資産を眺め、
総資産を縮める手がかりを探るのです。
余分な資産を削れば、貸借対照表の右側にある、
余分な借入金の負債が減り、余計な金利が減ります。
あるいは、損失を計上して剰余金が減るものの、
税金での流出が減り、現預金がより多く残ります。
つまり、総資産を縮めて「ROA」を向上させれば、
キャッシュフローが良くなるのです。
一方、「ROE」を向上させるには、
当期純利益額を増やすのか、自己資本額を減らすのか、です。
簡単なのは、企業が自社株買いを行い、
自己資本額を縮めることです。
数年前、「ROE」が注目された後、増えた手法です。
上場会社は自社株買いを進め、「ROE」を向上させたのです。
しかし、自社株買いをしたところで、
キャッシュフローには何の関係もありません。
「ROE」を気にする株主対策になるだけです。
だから、
オーナー会社である中小企業にとっては、
「ROE」は役に立たない、「ROA」を考えなさい、
と申し上げるのです。
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