いまだに絶えない、銀行サマサマ病
決算書を拝見したのち、
銀行取引の条件をお聞きすると、
「この強い財務体質で、どうしてそんな悪い条件なのか?」
と感じることがあります。そこには、
いまだに絶えない、銀行サマサマ病が潜んでいるのです。
ある地方のメーカーで、こんなことがありました。
自己資本比率は45%を超えています。
経常利益率もここ数年、悪くても5%以上を維持しています。
但しメーカーなので、設備投資の借入金が残っていました。
「この財務体質なら、金利も低いでしょう?」
と社長に尋ねました。
「ええ、おかげさまで1%を切って、0.9%になりました!」
その金利の高さに驚きました。
「ええ!高いじゃないですか!
この財務体質なら、0.3%を切らないとダメですよ!」
「0.9%でも、2年ほど前に比べたら、かなり下がりましたよ!」
「そのときは何%だったんですか?」
「1.5%前後でした。」
「で、個人保証や担保は?」
「まだ、ついたままです。」
というような会話が続きました。
要は、銀行担当者から、
「御社は長年の融資先なので、優遇させてもらっています。」
と言われ、自分の会社の条件は、良いものとばかり、
思わされていたのです。
銀行のいいようにされていたのです。
こんなケースが、いまだにあるのです。
銀行は、良い条件を獲れる会社からは、とことん搾り取ろうとします。
おそらく、この銀行では、
「この会社の社長は厳しい交渉をしてこないから、
このくらいの条件をだしておけばよい。」
といったことが、まかり通っていたのでしょう。
その根幹にあるのは、経営者の銀行サマサマ病です。
「あの時、銀行から貸してもらえたから今のわが社がある。」
「銀行に強気の交渉などして、借りれなくなったら大変だ。」
「うちは長年の取引き先だから、条件を良くしてくれている。」
「うちは浮気はしない!この銀行一本で行く!」などなど。
勘違いも甚だしいとは、このことです。
銀行は経営者のそのような勘違いに、突け入っているだけなのです。
このような会社は大概、財務担当者も同じ思考に陥っています。
なので、考え方を改めてもらうのに、かなりの労力がかかります。
とはいえこのメーカーも、
その後は銀行交渉を進め、担保・個人保証を外しました。
金利も0.5%以下にはなりました。
その社長はつくづく、こう言いました。
「銀行交渉のことを知らないと、明らかに、損しますね。」と。
銀行サマサマ病は、今からでも克服できる病なのです。
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