多くの税理士は、銀行に対する認識を誤っている④
税理士が書いている書籍や、
顧問先での税理士によるアドバイスを聞いていると、
「その税理士は、銀行に対する認識を誤っている!」
ということが、よくあります。
④銀行員はまず、当期純利益を見る
松波竜太という税理士の著書「その節税が会社を殺す!」(すばる舎)
には、「この人物は銀行の格付け方法を知らないのだろうか?」
と思ってしまうような発言が出てきます。
書籍では、銀行員が決算書のどこをまずみるか、
ということに触れています。
「既存取引銀行では、銀行員はまず、
損益計算書の当期純利益を見ます。」
とあります。
「利益が出ているかどうか、チェックします。」と続きます。
違います。
銀行員はまず、営業利益を見ます。
当期純利益を見るなら、そのあとです。
むしろ、見ないといってもよいくらいです。
既存融資先なら、返済能力が落ちていないかどうか、
が気になるのです。そこを判断したいのです。
返済能力を判断するとは、
格付評価(スコアリング)が落ちていないかどうか、
を確認したいのです。
銀行の格付評価(スコアリング)に関わるのは、
営業利益です。
格付評価の計算式のなかに、
当期純利益という言葉は、一切出てきません。
つまり、当期純利益は、格付評価に無関係なのです。
そのような当期純利益を、銀行員が真っ先に見るなど、
ありえないのです。
いるとしたら、自行の格付評価のことさえ知らない、
無知な銀行員なのです。
さらに書籍ではこう続きます。
「当期純利益が赤字だと、
銀行員は『大丈夫か?』と不安になります。」
私たちの顧問先では、そんな話しは聞いたことがありません。
むしろ聞くのは、
「営業利益と経常利益が黒字で、当期純利益が赤字ですか!
いいですねえ!手元にキャッシュが残りますね!」
と、銀行員から感心される言葉を受けた、という話しばかりです。
最近はビジネス誌でも、「借金経営のススメ」
などという、ミスリードを誘うタイトル記事が出ています。
借金は、必要に応じてするものです。
「借金経営」などと、ひとくくりにして勧めるものではありません。
借金は、返さないといけません。
「借入金を増やせばお金の心配は無くなる。」
などというウソに、惑わされないようにしてほしいのです。
(古山喜章)
【新刊本 発売しました!】
古山喜章の最新刊
『社長の決算書の見方・読み方・磨き方』が発売されました。
会計事務所任せの決算書では、稼いだお金が残りません!
決算書は、できあがってくるものではなく、意図をもって作るものです。
財務の基礎を学び、実用的な決算対策情報が満載の一冊です!
難しい会計用語は使いません!社長だけでなく、
財務担当の方にもぜひ一読いただき、実務の理解をしてもらってください!
メールにてお問い合わせの方は、こちらをクリックしてください。
【ブログ-井上和弘の寄り道スケッチ】
道場主 井上和弘の趣味、旅、雑学など、
会社経営からちょっと離れた、日常生活をつづったブログ、
「井上和弘の寄り道スケッチ」もぜひご覧ください!
« オフバランス実務④ | トップページ | オフバランス実務⑤ »
「銀行交渉」カテゴリの記事
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい④(2023.07.14)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい➂(2023.07.13)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい②(2023.07.11)
- 銀行融資の担保・個人保証はすぐに外しなさい①(2023.07.10)
- 特別損失を活用しなさい(2023.05.02)
コメント