国内生保の資金が中小企業に動き出している
先日ある経営者から、次のようなお声を聞きました。
「〇〇生命の融資部から連絡がきて、
“新規の設備投資資金が必要でしたらお貸ししますが、
いかがでしょうか?”
って言うんですよ。」
「えっ、生命保険会社から?返戻金範囲内の貸付ではないの?」
「違うんです。単なる融資なんですよ。」
「で、金利は?」
「それが、0.4%固定で、悪くないんですよ。」
「確かに、良くはないけど悪くないですね。」
で、詳細条件はこらからお聞きする、ということだったのです。
その経営者の会社は、代理店を通じて、
融資の声をかけてきた保険会社に加入していました。
大手国内生保にはそれぞれ、融資部があります。
保険料で集めた資金を融資し、利ザヤを得る部門です。
融資部がやっていることは、銀行と変わりません。
ただし、生命保険会社の融資部と言えば、
大型インフラ関連の融資や大口資金融資が中心です。
非上場の中小企業への、
それも数億円という規模の融資というのは、
聞いたことがありませんでした。
ではなぜ、
保険会社が非上場の中小企業にまで、
融資の手を伸ばしているのか、ということです。
保険会社には、融資部の他に投資運用部門があります。
早い話し、投資運用部門での資金の行き先がなく、
融資部門に流れ込んでいる、と考えるのです。
投資運用部門は、
国債を買ったり、外国債券に投資をしたりして、
利ザヤを稼ぐ部門です。
どちらかというと、融資部よりも花形部門です。
しかし、日本の国債は低金利で利ザヤを狙えません。
外国債券は金利がましでも、
多くの保険会社がバブル期に外債で失敗をしています。
その教訓からも、ウエイトを高く上げることに危険を感じています。
そこで国内企業の社債引き受けや企業融資に、
資金を動かしはじめたのです。
その融資先として、中小企業も視野に入れ始めた、
ということです。
数百億円単位の大口融資も、そう多くありません。
で、中小企業への小口融資に活路を見出した、
ということに思えるのです。
低金利の国債を買うことに比べたら、
企業への融資で0.4%の金利を得ることは、
保険会社にとって悪くないのです。
あとは、その融資先への与信管理です。
その経営者いわく、
「もちろん条件がよければ借りますよ。」とのことです。
その会社は小売業です。出店費用が必要なのです。
「銀行のライバルがまた増えたので、
銀行の担当者に伝えた時にどんな顔をするのか、
楽しみです。」
とのことでした。
多くの銀行は、
そのような強力なライバルが登場するとは、
思いもしていないはずです。
「最近、保険会社も中小企業への融資に動きだしてるよ。」
と、銀行担当者に投げかけてほしいのです。
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