なぜ、部積み両建て預金をするのか
東京を地盤とする地銀の東日本銀行が、
不適切な融資を企業に対して行っている、
として、金融庁から業務改善命令を受けました。
具体的には、
必要以上の資金を融資して定期預金に入れさせる、
いわゆる、部積み両建てを行っていた、というものです。
加えて、根拠のない融資手数料も得ていた、とされています。
金融庁が、銀行に対して不適切と指摘するのは、
金融機関の監督指針に記載されている項目に基づきます。
「銀行監督上の評価項目」のなかの「業務の適切性」という部分です。
そこで記載しているのは、大きく次の5つです。
①過度な協力預金
②過当な部積み両建て預金
➂銀行業務に含まれない商品の紹介
④銀行関連会社との取引の強要
⑤銀行の決算時期をまたがる不要な融資
いかがでしょうか?
「うちでもありますよ!」という項目があるかもしれません。
「これからの地方銀行は、会社の事業性を評価すべし!」
と金融庁は声を上げるものの、実態はまだまだこのとおりなのです。
各銀行員は、厳しいノルマをクリアするためなら、
ダメとわかっていても、上記の不適切行為に手を染めてしまうのです。
しかしその一方で、
なぜそのような不適切融資を経営者が了承してしまうのか、
ということです。
不要な資金を借りて定期預金に積み、不要な金利を払う。
定期預金なので、使うにも解約が必要です。
いわば、拘束された預金です。
当然、借入金が増えて、総資本が膨らみます。
総資産経常利益率や自己資本比率も悪化します。
ムダな金利を払う上に、財務体質も悪化させます。
そんなことを、経営者はなぜ了承してしまうのか?
結局、
「そうしておけば、何かあったときに現預金が多く安心だ。」
「銀行の言うとおりにしておけば、ウチが欲しい時にいつでも借りれる。」
などという、誤った認識を持っているのです。
それは、バブル時代の銀行交渉で経営者の身についてしまった、
銀行サマサマ病の後遺症であるのか、
あるいは、昨今の「借りれるだけ借りておきなさい!」
という類のミスリード本による、悪影響なのです。
歩積み両建ての場合、
銀行にすれば、お金を保管している口座が変わっただけです。
それで金利をもらえて、預貸率が上がるなら、言うことなしです。
要は、中小企業の経営者を、いいように扱っているだけなのです。
あの手この手でだましてお金を貸す銀行が、一番悪いです。
が、経営者自身も、銀行交渉や財務に関して、
正しい知識を得ることを、怠らないでほしいのです。
そうすることで、
銀行の術中にはまらないように、してほしいのです。
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