歴史は繰り返す 「変額保険訴訟問題」
スルガ銀行による、
シェアハウス融資問題が世間を騒がせています。
銀行から多額の融資を受けてシェアハウスに投資をした方が、
運用会社の破たんで返済不可能な危機にさらされています。
しかし、融資に絡む事件を紐解くと、
同じようなことは過去にも起こっているのです。
まさに、歴史は繰り返しているのです。
「変額保険訴訟問題」
平成8年前後、変額保険をめぐる訴訟が
全国で500件にのぼりました。
変額保険は、保険料の全額を保険会社が投資運用し、
その運用益に応じて死亡時受取金が変動する、という商品でした。
しかも、加入時に保険料を一時払いするので、
その資金を銀行が億単位で個人に融資をしたのです。
バブルで土地の価格が高騰する折、
相続問題を抱える方々へ、土地を担保にどんどん貸したのです。
「保険会社での運用利回りが高いので、
相続時には受取保険金で融資返済でき、相続税資金も確保できますよ。」
「融資の返済は、相続発生後に保険受取金での一括返済でOKです。
それまでは、金利のみのお支払いです。」
などと、甘い言葉で誘ったのです。
今から25年以上も前となると、
銀行や生命保険会社に対する世間の信頼は、今以上に絶大でした。
「銀行さんがそう言うのなら、間違いだろう。」
と、変額保険加入の融資契約数が激増したのです。
ところが、バブル崩壊で環境が激変しました。
「担保の不動産価格が担保割れをしていますので、
融資額の一括返済をお願いします。」
と、各銀行が融資をした個人に迫ったのです。
まさに、貸しはがしです。
当然、返済できるわけがありません。
「話しが違うじゃないか!」
「そんな説明は受けていない!」
などと社会問題になり、多数の自殺者も生み出しました。
で、銀行と保険会社が結託していたことや、
銀行は保険会社から多額のキックバックを受けていたことが、
明らかになってきました。
その当時、バブルも終焉に差し掛かり、
銀行は企業への融資を延ばしきれず、
個人への融資を増やすことに、軸足を向けていたのです。
そこに出てきたのが、変額保険だったのです。
銀行にとっては、渡りに船だったのです。
保険会社も、多額の運用資金を集めることができました。
銀行員も、保険販売員も、
変額保険が自らの点数稼ぎに、大いに役立ったのです。
しかし、状況が変われば一気に回収に動きます。
「契約者個人の了解を得て進めたことだ。」
と銀行は契約者の言い分を突っぱねました。
結局、訴訟の多くは、個人が泣き寝入りを強いられたのです。
スルガ銀行問題を見ているにつけ、
20年以上前の「変額保険訴訟問題」となんら変わらない、
銀行の悪質融資構造を感じずにはいられないのです。
(古山喜章)
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