悪か 善か? 税理士
業績悪化の会社が 我が事務所に駆け込んでこられました。
資料を拝見させていただいて、これは儲からないと直感で感じました。
ダメだと思えど紹介者もあり、無下に断るわけにもいかず、
しぶしぶその会社を尋ねました。
会社の財務(銀行交渉)は社長は 金銭出納は奥さん、
月次決算、年次決算書は税理士事務所に投げていました。
仕上がりは常に一か月遅れ、社長が税理士先生と話し合いで
年間決算を意図して作成していました。
2月に訪問しました。
3月に決算が迫っている。調査をしていて、すぐに判明したことは、
4月~3月の年次決算、このまま締めれば税前利益が赤字になってしまう。
このまま決算書を出すのはまずいので、4月、5月分の売上を前年に組み込み、粉飾してでも黒字の決算書を作成することを税理士と合意して、
そのように進めることになっているのでした。
なにしろ25億円の年間売り上げの会社で、
借入金が25億円以上、成人なら誰でもわかります。
年商分の借金があれば 返済できない、
なぜ、こんなバカな借入をしてしまったのか?
営業所を増やせば売上が上がる、
売上第一主義に凝り固まった骨董品的社長の考えです。
店舗を増やせば、セールスマンを増やせば、
新規事業を展開すれば、売り上げが上がる、常に拡大目標を掲げて
社員を叱咤激励するのが社長の仕事と信じている社長でした。
よくも貸し込んだ金融機関があるものだと銀行名を調べれば、
8行も出てくるじゃありませんか?
従来のメガバンクや地元のメインは明らかに手をはじめており、
域外の銀行や信用金庫、商工中金が突出して、貸し出しています。
さっそく営業利益は加工して黒字にし、
(不良設備等を引き出して)税前利益は赤字にして
キャッシュフローをたたき出し、返済に回す事を指導しました。
銀行信用はキャッシュフロー、
自己資本であることがわかっていない社長を説得して、粉飾を取りやめさせる。
一年たって ここにきて、又しても 4千万の在庫ごまかしが発見されて、
これ又、どうしようといった騒ぎになっていました。
ここで皆さんに考えてほしいのは、顧問税理士の作業態度であります。
①顧問会社が赤字になれば 外部信用がなくなる。
よって赤字であるにも関わらず、決算を黒字に粉飾して、
ない金を出して納税させる
②顧問会社が、特別に顧客から大口の注文が決算最終月に入り、
大黒字になる。どないかして利益調整しないと、
納税資金にも事欠く有様、利益圧縮を考えて粉飾する。
税理士は ①は いとも簡単にこの策に手をだし、協力する。しかし、
②の策の対しては ほとんど手を貸さない
税理士は 税務署の徴収官の手先であると考えるのは 私一人でしょうか?
売上がなくても
入ったように粉飾するのは別に問題なく「宜しい」で「善」
収入しているのに入ったようにしないで、
次の期に繰り延べてしまうのは「ダメ」で「悪」
①儲かっていない会社は どうにかして いかにも儲かっているように
嘘で飾り立てる
②儲かって仕方のない会社は、どうにかして「儲かっている」ことを隠して
粉飾する
経営者である限り ②の会社になりたいものです。
(井上和弘)
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