退職後のエビデンス③
経営者が退職金をもらうということは、
当然ですが、退職したから退職金をもらうのです。
しかし、現実には、退職金をもらっても、
退職していない、退職できない経営者がたくさんいます。
退職金というのは、会社も個人も両方にメリットがありますが、
退職金をもらった後も、退職していなければ、税務調査で否認されます。
これは困ります。
先日訪問したある会社は、
昨年に創業者である会長に退職金を支払いました。
これまでの経緯からして、
退職金をもらった後も、退職していない様子がうかがえました。
「経理部長、会長の経費の使い方が気になっています。
個人的な経費、多額の経費を会社に請求している、
ということはありませんか?」
このように聞くと、
「実は・・・・こんなのがあります。」
とある伝票を見せられたのです。
「仮払伝票ですか? 」
「はい。実は、退職した会長が、
いまも月に1度程度、出張に行かれるのです。
そのときに30万円、40万円を仮払で出してくれ、と言われます。
これまでの流れで、仮払いしています。
これも問題だとは感じているのですが、
もっと問題なのは、この仮払精算書に領収書が貼られていないのです。
しかも、大変申し上げにくいのですが、
おそらく、ここに書いている会食、手土産、あるいは、タクシー代は、
これは架空だと思います。
領収書がないですし、
そんなに会食や手土産をしょっちゅう渡す方ではありませんので・・・
会長は、従業員には口酸っぱくして領収書を出せ!
とおっしゃるのですが、ご自分のことになるとどうも・・・」
経理部長いわく、
「この仮払については、会長には誰も言えないのです。
“ここについては触れるな”というのが、
歴代の経理部長の申し送りになっています。」
創業者といえども、退職すれば、
経費の使い方もこれまで通り、というわけにはいきません。
経営者の方からすれば、
『これまで通り使って何が悪い?!』と思われるでしょうが、
個人の経費を会社で落とす、あるいは、多額の経費を会社で落とすということは、
“自分の会社の経費をどう使おうが勝手だ”という思いがあるからです。
それはつまり、退職していないということなのです。
(福岡雄吉郎)
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