おススメしません、納税猶予(4)
ICOとしても、納税猶予は薦めていない理由の2つ目は、
②自社株を税務署に担保に入れなければいけないから
です。
納税猶予の適用を受けるためには、
猶予される税額に相当する担保を提供する必要があります。
この場合に担保として提供できる財産は2つあります。
(1)納税猶予の対象となる会社の株式
この場合は、全ての株式を担保提供しなければいけません。
一部だけ担保に入れる、というのは認められません。
自社株式に譲渡制限が付されているものであっても、
担保として提供できる財産として取り扱われます。
では、仮に、自社株を担保に入れない場合は、どうなるでしょうか?
この場合は、次の計算式を満たすように担保提供する必要があります。
《必要担保額の判定》
必要担保額 ≧ 納税猶予に係る税額(本税)+猶予期間中の利子税額
要するに、猶予される相続税に見合った分の、
担保を提供しなければいけない、ということです。
(2)具体的に担保提供できる対象としては、次のとおりです。
・ 不動産
・ 国債・地方債、
・ 税務署長が確実と認める有価証券、
・ 税務署長が確実と認める保証人の保証
実務上は、(2)を使うケースは少なく、
(1)の自社株を担保として提供する、ということになります。
ちなみに現在は、株券を発行していない会社が多いので、
その場合は、自社株に税務署長が質権(※)を設定することについて、
承諾した旨を記載した書類を提出することになります。
もし、将来、猶予された税金を支払えなかった場合は、
株式が優先的に売却されて、
その売却代金をもって、猶予税金を支払うということになるのです。
もし万一の場合、
自社株式が誰の手にわたるか分からない、ということなのです。
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