おススメしません、納税猶予(5)
ICOとしても、納税猶予は薦めていない理由の3つ目は、
③他の相続人の相続税が高くなるから
です。
経営者のなかには、
ご自分の息子、娘は、全員平等だということで、
財産の配分も平等にしたい、と考える方がいらっしゃいます。
その考え方に基づいて、
株式まで平等に渡してしまえば、
将来、会社経営が不安定になります。
特に、現在は仲が良い兄弟、姉妹でも、
配偶者(妻、夫)や子供ができると、状況が変わってきます。
経済力の違いなどから、不平不満が配偶者から出てきて、
兄弟、姉妹の仲もいつしか、こじれてしまう、という場合があるのです。
ですから、株式の承継は、後継者に集中させ、
他の財産を、会社を継がない子供たちに継がせる、
というのが、原理原則になります。
そこで、株式の相続に際して納税猶予を適用した場合、
後継者の納税は猶予され(繰り延べられ)ます。
しかし、その他の財産にかかる相続税、
つまり、後継者以外の子供たちが支払う相続税は、
猶予されることはありません。
しかも、相続税というものは、
財産の金額に応じて、どんどん税率が高くなるものです(累進課税)。
株価が高い会社の場合においては、
経営者がなくなった時点ですでに株を手放している場合と、
まだ株式を保有している場合で、
相続財産の金額に大きな違いが生じます。
ということは、その分、相続税(率)も高くなる可能性がある、
ということです。
そのときに、株式を承継する後継者は、
納税猶予を受ければ、当面の相続税の支払いは避けることができます。
しかし、他の子どもたちは、そういうわけにはいきません。
先代(経営者)が、早めに対策をして、
なくなった時点で、すでに株式を譲渡し終えていたら、
他の子どもたちは、高い相続税を払わなくて済む場合がある、
ということなのです。
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