スルガ銀行問題は他人事ではない②
スルガ銀行問題では、
個人の預金データを改ざんし、
本来なら返済能力のない人物にまで、融資を行っていました。
これが世にいう、不適切融資、です。
似たようなことは、中小企業でも行われています。
決算書を拝見すると、
どう考えても返済能力が欠けているのに、
銀行が資金をジャブジャブ貸している、
という状況を目にする機会があるのです。
なぜ、そこまで貸すのか?
追及すると、見えてくることがあります。
なかでも多いのが、
経営者の個人資産を銀行がおさえこんでいる、
という例です。
経営者が個人所有する土地・建物を担保にとる。
経営者個人の預金を定期に入れさせて拘束する。
このような状況に陥っているのです。
銀行にすれば、会社の財務状況が悪くても、
いざとなったら経営者個人から回収すればよい、
として、会社への融資が行われているのです。
しかし、そのような会社の多くは、
もうこれ以上借りれないくらい、借りています。
長期を返すために短期を借りて、返済資金に充てたりしています。
短期借入のコロガシで、生命維持装置が作動しているだけです。
これは、安倍政権の金融緩和政策のもと、
銀行に現預金がジャブジャブ入ってきているから、
できていることです。
しかし、いつかその蛇口は締められてゆきます。
そうなれば、
「もう次回は短期での融資はできませんので。」
と銀行から告げられます。
となると、慌てて他の銀行へ出向きます。
しかし、そこでも、
「御社の財務状況では、融資はできかねます。」となります。
資金調達ができなくなるのです。
資金調達ができなければ、返済ができません。
返済できなければ、約定違反です。
約定違反が起これば、銀行は即座に回収に入ります。
押さえていた不動産や預金をすべて、債権回収に充当します。
経営者は身ぐるみはがれた状態になります。
事業どころではありません。当然、事業は破綻します。
さらに、経営者の家族内でもめごとが起こります。
離婚や一家離散が発生します。
経営者は行方知れずになります。
あるいは、自ら命を絶つ経営者もいます。
だから金融庁は、銀行が個人保証をとることで、
経営者個人を路頭に迷わせるな、と、
個人保証を禁止しいてるのです。
結局、財務体質にそぐわない、借り過ぎが原因なのです。
借り過ぎでも約定書に印鑑を押し、
破綻への道を自ら歩んでいるのです。
行き過ぎた借入金を抱えることほど、こわいものはないのです。
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