株式の整理は想定外の連続です③
事業承継のご相談を受けることが多いですが、
株価が高い会社には、種類株の活用をお勧めしています。
種類株を使った事業承継の最大のネックは、
すべての株主の同意をとる必要がある、ということです。
このため、外部株主の株数がほんのわずかの場合は、
いっそのこと、買い取ってしまおう、と考えます。
しかし、この買い取りがうまくいかないのです。
実例①菊田電機の場合
菊田電機は、創業50年の老舗電機メーカーです。
現在の菊田社長は、3代目社長。
長男への事業承継を考えていますが、
株価が高く、社長が保有する持分の評価額で10億円はします。
種類株の導入を進めようと思いましたが、
外部株主が2名いました。
1名は、生命保険会社
もう1名は、菊田電機の販売会社の梅川社長です。
あることをきっかけに、トラブルになり、それ以来疎遠になってしまいました。
現在、その販売会社は畳んだようですが、
過去に相当やりあったようで、
買取は難航することが予想されました。
持株比率は、わずか0.5%ですが、
出資してもらって、もう30年以上がたっています。
梅川社長は、現在85歳をこえ、
いまは介護施設にいるようです。
「梅川さんには、どういう方法で連絡をとるのがいいのでしょうか?」
「はい、連絡をとるなら、この方の長男ですね。
50歳前後ですが、ときどき介護施設にいって、
コミュニケーションをとっているようです。」
菊田社長に質問します。
「当社側の窓口は誰になりますか?」
「はい、大阪営業所の所長になりますね。」
「では、その方と話をさせてください」
そう伝え、営業所長と話をしました。
営業所長からは、開口一番このように言われました。
「実は、数年前に梅川さんの長男とお会いする機会があったのですが、
その際に、“菊田電機の株は、死んでも売らない!”と言っていました。
だから、正直、買い取りに応じてくれるとは思えません。」
(次回につづく)
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