株式の整理は想定外の連続です⑤
菊田電機は、その昔、仲違いした販売会社の元社長梅川氏から、
株式を買い戻そうとしています。
梅川氏あての手紙は次のように作成しました。
当社は、まもなく次世代へ事業を承継させることを予定しております。
当社は、株主の皆様、取引先様に多くのご支援を賜り、
これまで安定した業績を残してまいりました。
しかしながら、当社を取り巻く経営環境の変化は激しく、
来期以降の業績は厳しくなることが予想されます。
このような状況においては、当社が将来にわたり継続的に配当を行い、
株主の皆様のご期待に添えることができなくなる可能性も十分に考えられます。
つきましては、今回に限り、梅川様に保有していただいている株式を、
下記の条件にて、当社で買い取らせていただけないかと考えております。
買取価格につきましては、
長期にわたり安定的に株式を保有していただいたこと等を考慮し
通常の買取価格に、プレミア価格を上乗せした評価額
(約12倍の1株5,000円)でお願いしたいと存じます。
なお、買取価格について、その評価に客観性を持たせるべく、
顧問会計士・税理士による評価資料を添付させていただきます。
本件は、他の株主様にも同様のご依頼をし、ご快諾をいただいております。
甚だ勝手なお願いではございますが、
梅川様におかれましても、どうか本趣旨をご理解いただき、
ご賛同下さるようお願い申し上げます。
期日を経過後のお申込みは、無効とさせていただきますので、
予めご了承ください。
ポイントは、現在の配当が将来できなくなるかもしれない。
それなら、いま売ったほうが得ですよ、
ということを暗にメッセージとして送ることです。
さらに、プレミア価格をのせて買いますよ、
そして、期限が経過したら、申し込みは無効とします
というようなことで、売らなきゃ損、と思わせるように、
丁寧に誘導することです。
2週間後、「売ります」と返事がきました。
社長も、まさか売ってくれるとは・・・
びっくり!想定外!でした。
次回からは、その逆で、買取に苦戦したケースをご紹介します。
(次回につづく)
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