ミスリード本の過ち①
銀行から借りまくれ!
という類のミスリード本が絶えません。今も
「節税・無借金経営は今すぐやめなさい」(久保龍太郎著)
という本が書店に並んでいます。
その中身を拝見すると、
なぜそのようなことが言えるのか、理解できない過ちが、
多々あるのです。
①無借金では借りれない
この本では、次のように書かれています。
「無借金では取引実績がないため、
いざというときに貸してもらえません」
だから、無借金にしてはいけない、と言うのです。
この本のみならず、他の類似本でもよくあるフレーズです。
そのせいもあるのか、
多くの中小企業の経営者が口にするのも、この言葉です。
さらにはミスリード本を読んでしまった税理士まで、
同じことを言いだすのです。
まず、銀行との取引とは何か、です。
借りることだけが、取引ではありません。
口座を作ること自体が取引です。
加えて、振込があれば、入金もあります。
法人であれば、口座を作る時点で、決算書を提示しているはずです。
なので、その中身を審査部に回しているはずなのです。
つまり、銀行は財務の中身をある程度、
融資をしていなくても掴んでいるのです。
それに、取引実績とは融資を指す、としても、
無借金で融資を申し込んで貸してくれなかったとしたら、
それは、融資実績がないからではありません。
財務内容に不安があるからです。
つまりは、返済能力に不安があるのです。
この本で言う、いざというときとは、
業績が悪化した時、とあります。
そんなときでも、この本の理屈で言えば、
借入金まみれのほうが、いざというときに借りれる、
ということになります。
そんなことは、ありえません。
いざというときであろうと、平常時であろうと、
銀行が貸すのは、返済能力があると判断した会社です。
その判断は、決算書をもとに行います。
融資残高の有無ではないのです。
まだまだ、この本には不可解なことが山ほどあります。
順を追って、指摘してゆきたいと思います。
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