株式の整理は想定外の連続です⑧
九州地方にある機械工具メーカーである
松木製作所は、創業70年を迎えます。
中興の祖として、会社を大きく成長させた松木社長からの依頼で、
種類株式を使った事業承継対策を実行する、
ということになりました。
松木製作所の株主には、
現在の松木社長のいとこが株式を保有していました。
松木社長のいとこは、国立大学の元教授です。
最近退官したばかりですが、
収入はそれなりにもらわれているはずです。
『社長、お父様が会社を設立するとき、
1株いくらで設立されたのでしょうか?』
『1株50円で設立しています。』
『ということは、
社長のおじさん、つまり、いとこのお父様も1株50円で出資しています。
それなら、いとこからも50円で買い取れますよ。』
『親族だと、株価は高くなるんじゃないの?』
『はい、基本的にはそうなのですが、
株主構成次第では、親族といえども、
株数が少なく、会社経営にタッチしていなければ、
額面で買い取れる場合があるんです。
御社の場合は、まさにこの場合に該当するんです。』
『まぁ、よくよく考えたら、それはそうやなぁ。
だって、会社をここまでしてきたのは、
親父と私ですから。
いとこは何もタッチしていないのに、
株の買取金額だけ高いって、それは不公平な話や。』
『社長、とは言いつつも、長年もってもらったことですし、
50円というのもなんでしょうから、
色を付けて買い取ったほうがよいと思いますよ。』
『そうだね、じゃあ、倍の100円にしとこうか。』
『個人的には、そんなに株数も持っていませんし、
3倍~5倍、つまり300円~500円で買い取るほうが、
向こうも気持ちよく売ってくれると思います。』
『そやけど、あまり払いたくないなぁ~。
とりあえず、倍の100円で声をかけてみます』
(次回につづく)
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