株式の整理は想定外の連続です⑫
松木製作所は、現社長のいとこからの株式買取に
大変苦戦しました。
いとこの主張をまとめると
・現在持っている株式は、親戚のよしみで出資したのではない
・松木製作所の将来性を見込んで投資したのだ
・投資したのだから、日経平均株価の上がり幅と同じくらいで、
株を評価してもらわないと困る
・最低でも額面の7倍~8倍にはなるはずだ
この“いとこ”は、単に、父親から相続した株を保有しているだけなのに、
ずいぶんと大きな顔をしています。
某国立大学の元教授らしいといえば、そうかもしれません。
「一切経営にタッチしていないのに、
よくもこんなことが言えるな~」
社長も、開いた口が塞がりません。
しかし、次の手を考えないといけません。
『社長、このいとこが言う方法ですが、
理論的ではないものの、ものは試しで一回計算してみましょう。』
いとこが取得した株式は、
もともと40年以上前に取得された株式です。
7倍~8倍で収まるのかなぁ、と思いながら、
とりあえず調べることにしたのです。
過去の記録を細かく調べると、
いとこの持つ株式は、紆余曲折を経て、
今の株式数になっています。
そして、意外や意外!!
いとこの方法により計算した株価は、
額面の2倍程度にしか、ならかなったのです。
何かの間違いかな?と思いながら、
何度計算しても、やっぱり2倍でした。
その後、松木社長と相談して、
額面の4倍で買い取ることにし、
いとこのOKを取り付けることができたのです。
この一連のやりとりですが、
実は半年かかりました。
予定より半年遅れで、
当初の目的である種類株を導入したのです。
この話の教訓は、一つだけです。
最初に話をもっていったときに、
契約書も持参して、その場で判を押してもらう、
ということです。
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