ミスリード本の過ち②
銀行から借りまくれ!
という類のミスリード本が絶えません。今も
「節税・無借金経営は今すぐやめなさい」(久保龍太郎著)
という本が書店に並んでいます。
その中身を拝見すると、
なぜそのようなことが言えるのか、理解できない過ちが、
多々あるのです。
②営業利益は重視しない
この本では、銀行から1億円を借りる場合において、
次のように書かれています。
「多くの経営者は、損益計算書の営業利益や純利益を銀行が
重視していると思っているようですが、そうではありません。
純資産が1億円あれば、まず間違いなく貸してもらえます。
貸し倒れしないからです。」
格付け(スコアリング)のことをご存じないのか、
と思わずにはいられません。
その配点表を見れば、営業利益を重視していることは、
明らかです。
確かに純利益は重視していません。
しかし、その書き方も、格付(スコアリング)を知らずに
書いているとしか、読めないのです。
銀行が営業利益を重視するのは、
本業による儲けでの返済能力を評価したいのです。
その営業利益を重視せず、純資産の額を、
中小企業で重視することはありません。
確かに、スコアリングの評価のひとつに、
自己資本額という項目があります。
配点は、15点です。
満点が129点なので、そこそこのウエイトです。
しかし、15点を獲得できるのは、
自己資本額が100億円超、といった場合です。
10億円で6点、1億円で2点、といった配点です。
つまり、ほとんどの中小企業は、この15点を獲得できないのです。
だから、10ランクの格付(スコアリング)で、
中小企業は1位や2位はない、上場企業のみ、と言われるのです。
この本で書かれているような、
純資産が1億円あれば、間違いなく貸すなど、
ありえないのです。
もし貸すとしたら、
1億円の資産価値のある不動産・設備など、
何らかを担保におさえているから貸すのです。
純資産が1億円あっても、
営業利益がトントン程度かマイナスであれば、
格付け(スコアリング)ランクは低いです。
貸し倒れの危険が高いと判断されるのです。
1億円の純資産があるから貸し倒れしない、
というほど、単純なものではないのです。
(古山喜章)
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