株式の整理は想定外の連続です⑩
九州地方にある機械工具メーカーである
松木製作所は、創業70年を迎えます。
松木製作所の株主には、
現在の松木社長のいとこが株式を保有していました。
いとこの持つ株式は、税務上の時価は、50円でした。
松木社長は、その倍の100円で買い取ろうと考え、
いとこから、いったんはOKをもらいました。
ところが、その後、いとこの態度が変わり、
100円では売らない、と言い出したのです。
『社長、いとこは、娘さんから“安すぎる!”と言われて、
考えを変えたそうですが、他になんて言っていましたか?』
『はい、おたくの会社の決算の数字をもとに、
株価を計算するのが筋じゃないか?と。
もっと高くなるはずなのに、
当初の出資額の2倍ぽっちで買い取ろうなんてのは、
不誠実じゃないか?と。
こうやって言うてましたわ・・・』
『これは、背後に誰かいるパターンですね。
税理士とか、弁護士とか、いろんな人に相談したんですね。』
『たぶんね、いるでしょうね。』
『社長、とりあえず、税法上の時価という点でいえば、
いとこは会社経営にタッチしていないから、やはり額面なのです。
しかも、これまで御社は、毎年毎年、7~8%の配当をし続けてきています。
いまどき、定期預金したら、0.002%くらい。
雀の涙もいいとこです。
前回は電話ですよね。
こういった事情を改めて直接顔を見て話し、
いとこの考えを聞いてほしいのです。
こういう話は、社長ご自身が行くという方法もありますが、
息子さん(専務)に行ってもらい、
色々と話をしてもらいましょう。』
ということで、後日、いとこの自宅まで専務を送り込んだのです。
もちろん、会話はすべて録音してもらいました。
すると、またびっくりするような発言が飛びだしたのです。
(次回につづく)
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