ミスリード本の過ち➂
銀行から借りまくれ!
という類のミスリード本が絶えません。今も
「節税・無借金経営は今すぐやめなさい」(久保龍太郎著)
という本が書店に並んでいます。
その中身を拝見すると、
なぜそのようなことが言えるのか、理解できない過ちが、
多々あるのです。
➂借りられるだけ借りておけ
この本では、次のように書かれています。
「貸してもらえるなら借りない手はありません。
借りられるだけ、借りておくことです。」
借りたら返済しなければならない、
ということを全く考えていないのだろうか、
と思ってしまうのです。
が、銀行借入について、このような書き方をしている
本や記事が、最近多いのです。
借りられるだけ借りたら、どうなるでしょうか?
現金は一時的に増えますが、
当然、返済も金利も増えます。
この著者の理屈は、
返済をして借りられる枠ができたらまた借りる、
ということです。
要は、めいいっぱい借りっぱなしにしておけ、ということです。
私たちのもとには、
借入金が増えすぎてどうしたらよいのか、
という相談もあります。
これ以上は借りれず、返済のメドもたたず、
どうすればよいのかわからない、と頭を抱える経営者です。
そのような場合、まず業績もよくありません。
この著者は、
「それでいいんですよ。」とでも言うのでしょうか。
役員報酬を大幅カットし、売れる資産は売り、
手元資金を吐き出させ、不採算部門を閉鎖し、
銀行に借り換えやリスケの交渉をする、
など、血のにじむような対策で難局を乗り越えます。
そうするしか、生き延びることができないのです。
しかし、そのような状況にしてしまったのは、
経営者の「借りられるだけ借りておけ」という思考が原因です。
そのような思考でめいいっぱい借りて、
その資金を有効に活用できる経営者はいません。
目の前にお金があれば、
それが借金だろうと、金づかいが荒くなります。
また借りたらいい、となります。
で、にっちもさっちも行かなくなるのです。
それに、低金利がいつまでも続くわけではありません。
自社の事業に飛び火する〇〇ショックも、
いつ来るかはわかりません。
過剰な借入金は、そのような事態の備えになりません。
むしろ、爆弾を抱えているようなものです。
必要な資金だけを良い条件で借りる、
ということに力を注いでほしいのです。
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